21歳になった奥平大兼がこれまでの出演作とともに4年間の自身の成長を振り返る
当て書きの役柄を演じたドラマ「最高の教師」
――6月公開の『君は放課後インソムニア』では森七菜さんとW主演されました。心臓病である森さん演じるヒロインに寄り添う丸太役も印象的でした。 初めての主演映画でありつつ、マンガ原作の実写化なので、そこに対しての役作りや映画作りを初めて意識した作品でした。プレッシャーまではいかなくても、原作のオジロマコトさんを始め、原作の大ファンの森七菜さんだったり、いろんな方の想いを背負っていることを強く感じましたね。 とはいえ、現場では池田千尋監督も一緒に「とりあえずやってみようか」というメンタルでいることができて楽しかったです。「自分だったら、どう接して、どういう気持ちになるか?」と、丸太という役でなく、自分の感覚で森七菜さんが演じた伊咲について考えながら、台本を照らし合わせて演じました。 ――さらに、7月放送のドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」では、ミステリアスな雰囲気を持つ3年D組の生徒・星崎役を演じました。同世代の俳優との学園ドラマはいかがでしたか? 初めての学園ドラマだったのですが、プロデューサーさんと監督さんが「ZIP! 朝ドラマ「サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days」でご一緒した大好きなチームで、「この役は大兼の当て書きだから、自由にやっていいよ」と言われていたんです。 「自分は、どう見えているんだろう?」と思いつつ(笑)、その自由がプレッシャーにならなかったというか、お芝居として成り立たせつつ「好き勝手やってやろう!」みたいな気持ちでした。でも、あそこまで集団で芝居することが初めてだったので、その大変さはありました。現場はめちゃくちゃ楽しかったし、いちばん記憶に残っている役かもしれないです。 ――メイン回だった10話後に配信された、スピンオフドラマ「3年後の僕たちは」も印象的でした。 3年後の星崎が、当時を10分間ぐらいアドリブで振り返る企画だったのですが、星崎が3年後にどうなっているのかを考えつつ、当て書きだと言われていたので、自分の3年後もちょっと考えながら話していたんです。そうしたら、泣くつもりがなかったのに、めちゃくちゃ泣けてきちゃって、「お芝居しながら、こういう瞬間があるんだ」と思いましたね。それまで、泣こうと思って泣くときもあるし、自然と涙が出るときもありましたが、もう号泣だったんですよ。またひとつ、お芝居の面白さに出会えたような気がしました。 奥平大兼(おくだいら・だいけん) 2003年9月20日生まれ。東京都出身。20年公開の『MOTHER マザー』で俳優デビューし、同作で「第44回日本アカデミー賞」新人俳優賞、「第94回キネマ旬報ベスト・テン」新人男優賞、「第63回ブルーリボン賞」新人賞などを受賞。23年公開の初主演作『君は放課後インソムニア』などでTAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞するほか、24年も『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』『赤羽骨子のボディガード』などの公開が相次ぐ。
くれい 響