21歳になった奥平大兼がこれまでの出演作とともに4年間の自身の成長を振り返る
素直な気持ちを監督に相談し、一歩一歩成長を遂げる
――22年公開の『マイスモールランド』では、嵐莉菜さん演じる在日クルド人のヒロインを温かく見守る高校生・聡太を演じました。個人的には、この頃から奥平さんの「受け芝居」から目が離せなくなりました。 川和田(恵真)さんが商業映画初監督で、嵐莉菜さんも初めての映画ということもあり、みんなで探り合いながら作っていこうという現場で、「映画2作目がこの作品で良かったな」と思っています。現場では川和田さんに、アカデミー賞を獲った後の自分の正直な気持ちを話したんですが、そのとき川和田さんが具体的に「こうした方がいいんじゃない」ではなく、「多分、考えすぎなんだと思うよ」みたいなことを言ってくださって、気持ちが楽になったことを鮮明に覚えています。そういう意味では、自分のことを分かっていく入口に立つことができた作品かもしれません。 ――そして、快進撃が始まる23年。1月公開の『あつい胸さわぎ』では吉田美月喜さん演じる若年性乳がんを宣告されるヒロインの初恋相手・光輝役を演じます。 監督のまつむら(しんご)さんにも本当にお世話になっていて……何度も自分の悩みを聞いてもらっています。実は最初、別の役でお話をいただいていたんです。とてもやりがいがある役だと思いつつ、「いまの自分が成長できるのは、ちょっと大人びた光輝の方かもしれないです」という話を、まつむらさんにさせてもらいました。 それについては、今もとても感謝していますし、僕が光輝として先輩の俳優さんにタメ口で話すときに、どこか不自然になってしまうところをすぐに察して、「現場ではみんな敬語禁止」というルールを作ってくださったんです。映画を撮りつつ、そういう細かいところまで支えてくださったことはありがたかったです。 あと、前田(敦子)さんがめちゃくちゃ仲良くしてくださって、難しい一緒のシーンもラフな気持ちでいることができました。 ――4月公開の『ヴィレッジ』では、横浜流星さん演じる主人公とともにゴミ処理場で働く作業員の後輩・龍太役を演じました。 監督の藤井(道人)さんは、初めて口頭で「大兼はこういうことがまだ上手くできてない」と、具体的に指摘してくれた人です。カメラ位置を意識して、お芝居することだったり、台本通り一字一句セリフを言うことだったり、技術的なことですね。それまでの作品では「自由にやってほしい」と言われることが多かったのですが、クランクインの日にそうやって藤井さんにハッキリ言われたことは嬉しかったですし、「こうした方がいい」ということも明確に言葉で伝えてくれたんです。 見た目はチャラい役なんですけれど、ちゃんと周りを見ながら、空気を読んでいるところもあるので、主演の横浜流星さんだけでなく、周りの人を見ながらお芝居をしていました。そして、クランクアップのときに「どんどん良くなったよ」とって言ってくださって、「次、この人に会ったときに、成長したところを見せたいな」と思いました。だから、『パレード』(24年)に呼んでくださったときは嬉しかったです。