なぜ呼ばれない? 日本代表に招集したかった6人。実力は申し分ないが、声がかからなかったのは?
MF:藤田譲瑠チマ(ふじた・じょえる・チマ)
生年月日:2002年2月16日 所属クラブ:シント=トロイデン(ベルギー) 24/25リーグ戦成績:4試合0得点0アシスト U-23日本代表のキャプテンとしてパリ五輪(パリオリンピック)で奮闘した“遠藤航の後継者”こと藤田譲瑠チマも、ワールドカップ・アジア最終予選に臨む日本代表への招集が期待された選手の1人だ。 今月5日に行われたアジア最終予選初戦の中国代表戦は、あらためて遠藤の偉大さが感じられた試合だった。中盤の底で相手の攻撃の芽を摘み、攻撃に転じた際には鋭い縦パスでスイッチをオン。12分にCKからチームを勢いづかせる先制点を挙げた日本代表キャプテンは、7-0の記録的大勝に大きく貢献した。 ただ、遠藤の存在感が高まれば高まるほど、不在時にチームが抱えるリスクも比例して上がってしまうジレンマが生じているのも確かだ。そのため、藤田を今回のアジア最終予選で本格的に日本代表へ組み込み、来たる時に備えておく意義はあったのではないだろうか。 178cmの遠藤と同様に、175cmの藤田も決して体格に恵まれた選手ではない。だが、抜群の先読み能力で危険なエリアを潰し、ファウルなしでボールを奪いきる技術は一級品だ。チームの攻撃を加速させる縦パスや、状況に応じたプレーを選択できる賢さ、力強くチームをけん引するキャプテンシーなど、藤田は今すぐにでも日本代表に還元できる特長を数多く備えている。 U-23日本代表をまとめ上げてきたキャプテンも現在22歳。世界的に見れば、もはや慎重な起用を求められる年齢ではない。日本代表で責任ある重要な役割を担わせることこそが、藤田の能力を最大限に引き出す方法のように思える。9月シリーズでは代表入りを逃したものの、藤田が日本代表の中心選手に上り詰めるのもそう遠い未来の話ではないはずだ。
MF:鈴木唯人(すずき・ゆいと)
生年月日:2001年10月25日 所属クラブ:ブレンビー(デンマーク) 24/25リーグ戦成績:7試合0得点1アシスト 今年6月のワールドカップ・アジア2次予選でおよそ2年半ぶりに日本代表へ返り咲いた鈴木唯人だったが、アジア最終予選の9月シリーズには招集されなかった。 絶妙なファーストタッチ、テクニカルかつダイナミックなドリブル、精度の高いシュートと、鈴木は攻撃的なポジションの選手に求められる能力を高いレベルで備えている。パリ世代屈指の逸材には、いまやマンチェスター・シティやリバプールをはじめとする欧州列強クラブが獲得に関心を示すほどだ。 しかし、現在の日本代表には久保建英や堂安律、南野拓実といったタレントが揃っているため、鈴木ほどの実力の持ち主であっても代表入りは容易ではない。久保らの出来栄えが非常に良いこともあり、森保一監督の中で鈴木を招集する優先順位は必ずしも高くないように見える。 ただ、所属クラブのブレンビーで鈴木がシャドーのポジションを務めることが多いという点は見逃せない。森保監督は、今月5日に行われた最終予選初戦の中国代表戦でブレンビーと同じ[3-4-2-1]システムを採用。同システムは大きな効果を発揮し、7-0と記録的なスコアにつながった。結果論ではあるが、[3-4-2-1]システムを使用するのであれば、ブレンビーでシャドーの役割に慣れ親しんでいる鈴木を招集しておいても良かったように思える。 スペースを作る動きに長けている上田綺世の後方で得点力のある鈴木が虎視眈々とゴールを狙う布陣は、どの相手にとっても脅威になるだろう。輝きを放つための戦術的条件が揃っていただけに、今回のアジア最終予選で鈴木の姿をピッチ上で見たかったと余計に感じてしまうのは贅沢な欲求だろうか。