「インバウンドとの二重価格は慎重に」「経営者は見事に引き継いでこそ」星野リゾート代表、観光問題や事業承継など語る 事業承継当事者の「サクセッションCLUB」発足記念講演会
日本経済の課題となっている事業承継について、当事者の経営者らが交流する「サクセッションCLUB」の発足記念講演会が25日、帝国ホテル東京(東京都千代田区)で開かれた。星野リゾート・星野佳路代表と、CLUB発起人でもある早稲田大ビジネススクールの入山章栄教授が対談し、オーバーツーリズムや事業承継問題などについて意見を交わした。 【動画】星野リゾート代表、会社を一時離れた経緯は
■インバウンド、5都道府県が75%を独占
記念講演会には、CLUB会員となった各界の経営者ら約100人が参加した。 まず、星野氏と入山氏は、インバウンドの増加によるオーバーツーリズムについて意見を交わした。星野氏は、「東京、京都、大阪、北海道、福岡の5都道府県でインバウンドの75%を占める」と指摘。まだ恩恵を受けていない地域の情報発信とアクセス改善をすることで、インバウンドを分散させることが望ましいとした。 また、インバウンドと国内観光客で二重の価格設定をする動きについて、入山氏が「選択肢としてあり得るのでは」とたずねると、星野氏は「国籍や人種によって、同じサービスなのに価格差が出るのはどうなのか。より付加価値の高いのオプションを設けるなどして対応するのが理想」とした。
■同族企業、日本経済にかなり重要
また、ファミリービジネスを継承していく重要性についても議論した。入山氏が「日本は99%同族企業だから、ここに新しい視点と経営が加われば、日本経済が活性化するのは間違いない」と、事業承継を機に企業が成長する重要性を語った。 星野氏は「引き継ぐ側は、事業を承継する覚悟を持っている。でも、渡す側の覚悟がなかなかできにくい。事業承継は、見事に引き継いで初めてレジェンドになる」と指摘した。 星野氏も、創業家の4代目だが、事業承継を巡る対立で一時会社を離れたこともある。参加者に向けて「次世代に渡すことが事業承継の完結」という意識を持つことの大切さを訴え、「老害に回らないように(笑)」と呼びかけた。 サクセッションCLUBは今年4月、事業承継を経験した約30人の経営者らが発起人となり発足した。多様な業種の経営者が参加し、事業承継に関する課題解決について学びながら異業種交流をしており、事業承継当事者の経営者なら誰でも参加できる。 詳しい参加方法は、賢者の選択サクセッションホームページに記載している。