市場移転問題、小池都知事が基本方針発表(全文1)築地は守る、豊洲を生かす
豊洲市場開場後の健全な経営計画の確保が必要
豊洲市場、次に、豊洲市場開場後の健全な経営の計画、これを確保していかなければなりません。これまで都民全体の財産であります、築地市場を売却して、資金を充当するというこのような考え方があったわけでございますが、一方で豊洲市場につきましても、開場後も赤字がかさむということで、これは先日の市場のあり方戦略本部においても、この数字、見通しなどは示されたところでございます。キャッシュフロー赤字ということにつきましては、毎年21億円という数字がはじき出されたところでございます。そして都民の財産の処分、そしてこれから税金をどんと投入するなどということがあってはならないということでございます。 次に築地市場の状況をもう一度おさらいをしておきたいと思います。大変、歴史ある築地市場でございますので、その結果として老朽化が進む、それから耐震工事が、これは先ほど申し上げましたように、首都直下型地震にどこまで耐えうるのか、課題がございます。そしてまた、仮設建築物などの施設の改修が必要だということも指摘をされているところでございます。それから土壌汚染調査、これも現在も行っているところでございますけれども、必要な土壌汚染調査ということが求められると考えられます。 それから築地市場でありますが、こちらのほうも、あり方戦略本部、さらには各関係者の皆さま方からのヒアリングを通じても明確なように、取扱量そして取扱金額、さらには仲卸の業者の数は、この25年間でほぼ半減という状況でございまして、物流がこのところ特に変化が激しいということでございまして、できるだけ早急な対策が必要と考えているところでございます。
築地は守る、そして豊洲を生かすを基本方針1に
そして築地市場の、次でございますが、築地市場の状況をもう一度あらためて見直してみますと、築地市場の価値そして高いブランド力というのは、これは東京都の莫大な資産であると考えられます。高い知名度、そして長い歴史、日本で唯一市場がブランドになった稀有な存在といっていいかと思います。そしてその築地ブランドの核をなすのが仲卸の皆さんでありまして、この仲卸の方々の目利き力ということが、まさにブランドの宝の宝の部分かと思います。 一方で不動産というのは、もう一言で言って、ロケーションと言われるわけでございますけれども、ロケーションについては、東京の中でも築地の位置というのは、何物にも替えがたいものがあるわけでございます。さらに市場内外一体とした、食の賑わいがあるからこそ、世界からの観光客も引き付けているという現実でございます。さらにはそれが観光資源としても大きな経済価値を有しているということでございます。そこで都といたしまして、築地ブランドを維持、活用、発展させるということで、新しい戦略を展開すべきと考えております。その上で透明性の高い制度の運用改善も必要かと考えております。 これらをベースにいたしまして、基本的な方針でございますけれども、はい。築地は守る、そして豊洲を生かすということを基本方針の1とさせていただきます。築地のあとは築地ということも言えるかと思います。築地市場は長年培ったブランド力、そして地域との調和を生かして、あらためて活用することが、この大切な宝を生かす方法ではないかと考えます。そして豊洲市場、一方で豊洲市場の問題でありますけれども、地下空間の追加対策については、先日の専門家会議でもご示唆があったところでございまして、また、地下水管理システムの補強策という点も、せんだっての専門家会議で指摘のあったところでございまして、これら安全対策を講じた上で豊洲市場を生かすべきではないかと考えます。 さらに豊洲市場でございますが、冷凍、冷蔵、加工などの機能を、今もこれをベースにつくられたものでございますけれども、そこをいっそう強化をして、ITを活用する、ユビキタス社会の物流、総合物流拠点となる、中央卸売市場になると、このように考えております。 東京都は、方針の3番目でございますけれども、あらためて申し上げますと、東京都といたしまして、事業者の皆さま、都民の皆さまの信頼回復に徹底的に取り組んでいくということでございます。これらの基本的な方針をもとにいたしまして、早急に具体的な方策を詰めていくように事務方、都庁職員のほうに、先ほど指示をしたところでございます。 次でありますけれども、この方針の1の意味でありますけれども、先ほどからも繰り返して申し上げておりますように、そのブランド力、そしてまた現状の維持、保存を超えて、伝統と革新が交差する場所へと発展させることができる。それから築地の土地を民間とともに有効活用して、自立的な経営を目指す。場外と一体となって、世界の食の関連業者、これを集積していく。そして築地、アルファベットでTSUKIJIとすることによって、2020年以降の東京の世界への発信の重要な拠点になるということかと存じます。もちろん、このアルファベットにしたっていうのは、これで決めるっていうことではなくて、ニュアンスとしてお伝えをしているところであります。 それから、移転をする理由でございますけれども、これはプロジェクトチームのほうで、種地を転がして、徐々に築地を再整備するという案を出していただいていたわけでございますけれども、施設の老朽化、そして耐震化への対応というのは急務でございますし、市場を取り巻く環境や仲卸など、事業者の経営状況もなかなか、かなり厳しいものもございます。そこで現地再整備案、つまり、営業しながら改修をしていく、ローリング案というのは現実的にはかなり厳しいという中において、建て替えの有効な地として豊洲市場を生かしていくという考え方でございます。 そこで新しい築地を創造していくということでございまして、この築地の土地を有効活用して、採算性も今後向上させていくという考え方であります。 【連載】市場移転問題、小池都知事が基本方針発表 全文2へ続く