市場移転問題、小池都知事が基本方針発表(全文1)築地は守る、豊洲を生かす
豊洲、地上は安全だが、地下は追加対策必要
それから2点目でございますけれども、これまで日本一の世界に誇るブランド、築地のブランドというものは長い間汗水流して、必死の思いで育て、そして守ってきた市場の方々に対して親身に向き合っていく必要があると感じたからでございます。ご存じのように石原都知事時代に土壌汚染の可能性が指摘された東京ガスの跡地に建てました豊洲への移転については環境基準以下に有害物質を抑えるという約束、いわゆる無害化、これを念頭にしてきたわけでございます。都議会においても無害化を前提とする附帯決議も存在をしてきました。 一方で土壌汚染対策でございますが、これまで850億円以上も投じられてきたものの、投じられてまいりましたけれども、今年1月からモニタリング調査でもいまだに有害物質が基準値を大幅に上回る数値、検出をされました。よって現在においても無害化の約束が果たされているとはいえない状況でございます。逆に昨年の11月に予定どおり豊洲が開場されたのちに、あるはずの盛り土がなかった、さらにモニタリングで有害物質が検出されていたということが分かっていたならば、すでに売却された築地を失い、そして行き場をなくしてしまっていた、市場関係者の皆さま、いったいどうしたら良いかと思ったのではないかと思うわけでございます。 その上で先の専門家会議でございますが、安全性を検証していただいてきました、平田座長が地上は安全だと。しかしながら有害物質が検出された地下については追加対策が必要とのご意見を出されたところはご存じのとおりであります。あらためて専門家会議が再度検証してきた、これが答えということでございました。 先日、築地市場に私、赴きまして、市場関係者の方々から率直なご意見も伺ってきたところでございます。私は築地が大好きなんだ。この際時間をかけてもしっかりとしたものを決めてほしいなどなど、築地市場の方々の切実なお声を伺ってきたところでございます。わが国は伝統文化というものを大切にしてきた国でございます。長い間、築地市場の方々、東京都民ならず、日本が育て守ってきた築地の伝統やブランド、私はこれらを守っていくんだという信念と豊洲で累積してしまう赤字という将来の負の遺産は残してはならないという、次の世代への思いと、これから日本一の世界に誇る築地ブランドからの食に魂を込めまして、この築地を再開発するという基本方針を判断するに至ったことでございます。 築地市場の跡地を再開発するということにももちろん課題は山積しております。しかし老朽化して今の築地市場で今後30年以内に高い確率で発生をいたすと予想されます、首都直下型地震への対応もにらまなければなりません。長い間育まれてきた築地ブランド、今後50年、60年、70年とさらに育てていくために応急手当ではなく、ここはしっかりとした手を打っていくべきではないかと、このように考えるところでございます。 もちろん最終的に決定をする権限を持つのは都議会ということになりますが、築地を再開発して、新たな東京の一大拠点をつくるという希望、これがあれば私は必ずやっていけるもの、実現できるものとこのように考えているところでございます。それではこちら、PowerPointで若干内容をご説明していきたいと存じます。 市場移転の問題に関してまとめてみました。まず、豊洲市場の状況と課題を確認しておきます。安全・安心の基準につきましては、先ほど申し上げましたように、これまでの議会の附帯決議、そしてまた市場長答弁などがございますが、未達成ということで、先日、私、築地市場の講堂に参りまして、皆さま方に謝ってきたところでございます。今後も事業者と都民の皆さま方からの信頼を得るためには最大限の努力が必要だということを痛感したところでございます。