目の前で人が倒れたら…AED、いざというときに使えますか? 市民が目撃する心停止、年間3万人
AEDの使い方は
AEDが到着したら、電源を入れます。開けると自動で電源が入るタイプもあり、流れてくる音声ガイダンスに従って操作をします。 AEDは現在、8社が製品化しています。オレンジや赤色だけでなく、白や黄緑色などさまざまです。 見た目は違っても、使い方はいずれもシンプルです。 「パッドを胸に装着してください」などと音声で指示があるほか、貼る位置も電極パッドに描かれています。 貼る位置は、倒れている人の胸の右上(右鎖骨の下)と、胸の左下(脇の5~8cm下)の2カ所です。 パッドは素肌に貼る必要がありますが、女性に使用する際もパッドが貼れればブラジャーを外す必要はありません。余裕があれば上着やタオルなどで覆って見えないようにするといいそうです。 日本AED財団は、一刻を争う事態では相手が女性であってもためらわずにパッドを装着してほしいと呼びかけています。妊娠中でも、心停止が疑われたら命を救うために積極的に使用してほしいそうです。 ネックレスなど金属製アクセサリーを付けていた場合は、電気ショックの効果が低下したり、やけどをするおそれがあったりするため外す必要があります。 パッドを貼ると、AEDが自動で心電図を解析し、電気ショックが必要かどうかを判断します。 「ショックが必要です。ショックボタンを押してください」などと流れたらボタンを押します。感電のおそれがあるため、ボタンを押す瞬間は倒れている人に触れないように注意指示もあります。 なかにはオートショックのタイプもあり、電気ショックが必要だと判断すると、自動でショックを実行してくれます。 電気ショックのあとも、すぐに胸骨圧迫を再開することが重要です。「ショックが不要」と判断されるケースもありますが、その場合も倒れている人が嫌がる仕草を見せない限り、胸骨圧迫は続けます。
人前での心停止は約3万人
心臓が原因で突然心肺停止となる人は年間9万人以上。多くの場合、心室細動が原因となります。 街中だけでなく、マラソン大会といったスポーツ現場、学校でも起きています。 消防庁によると、2022年に人の目の前で突然、心肺停止になって倒れた人は約2万9千人。そのうち、居合わせた人によって胸骨圧迫などの心肺蘇生を受けたのは59.2%で、AEDを使って電気ショックに至ったのは4.3%にとどまりました。 AEDの活用が低レベルにとどまっている背景には、突然心臓が止まって倒れてしまう事例の70%ほどが自宅で起きていて近くにAEDがないことや、街中でも設置場所が周知されていないといった事情があります。 AEDの設置数は推計69万台と多いものの、設置した人には場所の情報を登録したり、一般に公開したりする義務はありません。日本救急医療財団や日本AED財団などが設置場所を示すマップを公開していますが、一部にとどまり、マップが共通化されていないという課題もあります。 日本AED財団理事長の三田村秀雄さんは「AEDへのアクセスをよくし、救命に手を貸してくれるサポーターを増やしていきたい」と話しています。