「あなたはなぜ専業主婦に?」全国の母親に聞いた、それぞれの理由
信濃毎日新聞社は、子育て包括支援事業などを手がける「コネヒト」(東京)と共同で、全国の母親2838人に子育てしながら働くことに関するアンケートを実施し、結果をまとめた。就業形態の変化などから「育児は女性」といった意識がいまだ強いことが浮き彫りに。専業主婦の割合も増加しており、専門家は、母親は仕事より子どもを優先すべきだ―との社会的・文化的な規範が、専業主婦の選択に影響を与えている可能性を指摘している。 【グラフ】今の働き方を選んだ理由は?「家族と家事育児分担できる」「職場の理解」満足度によって違いも
出産前に専業主婦だった人の割合は5%(129人)だったが、出産後の専業主婦の割合は8%(213人)に増えた。自由記述を見ると、進んで専業主婦を選んだ人もいれば、選ばざるを得なかった人もいる。 進んで専業主婦を選んだ人たちからは「子育てに専念したかった」(大阪府の30代)、「家事を頑張りたい」(奈良県の30代)といった理由が挙がった。 一方、専業主婦を選ばざるを得なかった人からは、「夫の仕事が不規則で育児は私がやるしかないので、働くことを諦めた」(神奈川県の30代)など、育児を家族らと分担できない状況を挙げる人もいた。
長野県立大大学院ソーシャルイノベーション研究科講師の渡辺さやかさん(42)=社会学=は「専業主婦という選択を本当に自分で決定できているかが大切」と話す。家事や育児の負担を女性に求める社会の意識が「女性の自己決定を妨げていないかどうか、目を向けるべきだ」としている。 【アンケートについて】 アンケートは、コネヒトが開発・運営する母親向けアプリ「ママリ」の利用者を対象に実施。子育て中または妊娠中の女性2838人から回答を得た。 調査期間:2023年9月2~3日、9~10日 調査方法:インターネット調査 【コネヒト】 「あなたの家族像が実現できる社会をつくる」をビジョンに掲げ、母親向けのアプリ・情報サイト「ママリ」の開発・運営や、子育て包括支援、企業や自治体向けの育休取得支援事業を手がけている。