大阪「木津の朝市」人気 セリのだいご味・落札する快感
大阪「木津の朝市」人気 セリのだいご味・落札する快感 THEPAGE大阪
江戸時代から大阪人の台所として食材を提供してきた大阪市浪速区の大阪木津卸売市場で毎月2回、市民を対象とした「木津の朝市」が開かれ、精肉や鮮魚のセリ体験などでにぎわっている。新鮮で品質のいい食材が格安で手に入ると、参加者たちの評判は上々だ。9月1回目の朝市を取材した。
落札のたびに、ハンドベル
朝市は毎月第2土曜日と最終土曜日、午前9時から正午まで開催。通常は業務店向けの卸売りに限定されている市場が市民に開放され、自由に買い物できる。 いちばん人気はセリツアー。精肉や鮮魚などの専門店でセリに参加し、駆け引きをしながら価格を提示し、商品を競り落とすことができる。精肉店では牛肉の商品知識に関するひと口解説が行われたのち、セリ人が登場。黒毛和牛のパック入り高級牛肉を周囲に掲げて公開すると、参加者から「3000円」「5000円!」と、声がかかる。 落札のたびに、ハンドベルが威勢よく鳴らされ、セリのムードを盛り上げていく。この日最大の牛肉1・5キロが登場すると、迫力に押され、どよめきが起こる。9000円で落札した70代男性は「いい肉が手に入った。みんなに分けて食べてもらう」と満足げだった。
マグロの頭1400円・イワシ数十匹500円
鮮魚店でトロ箱一杯分のイワシ数十匹を、特別サービスの500円で競り落としたのは、5歳男児。母親に連れられ、ふたりの兄と4人でやってきたという。 母親は「お兄ちゃんが夏休みの課題で、お魚の絵を描きたいというので、先日初めて木津市場へ。もっとお魚を知りたいというので、きょうもやってきましたが、まさか子どもが競り落とせるなんて、びっくり。みんなイワシフライが食べたいというので、今夜はたくさん揚げて食べさせるつもりです」と、子どもたちの顔を見渡しながら興奮気味に語った。市場は教育の場にもなっている。 マグロの専門店で、大きなマグロの頭を1400円で競り落とした40代男性は「狙っていました」と会心の笑顔。前回の朝市で下調べした際、マグロの頭がセリにかかることを知る。「前回は電車で来ましたが、マグロの頭を抱えては電車に乗れないので、きょうは車に積んで帰ります」。用意周到の大物狙い。マグロの頭をベテラン店員に解体してもらいながら、部位ごとの食べ方を教わっていた。女性セリ人の名調子も楽しめる。