指だけで決済完了!東武鉄道と日立製作所が「指静脈決済」拡大へ【WBS】
買い物の際に財布から現金を取り出すのではなく、スマートフォンでピッと支払いを済ませているという人も多いと思います。実は、スマホすらも必要とせず、手ぶらで買い物ができる新たな技術が広がっています。カギを握るのは「指」です。 9月3日に発表されたのは、東武鉄道と日立製作所が共同で開発する指の静脈を使った決済サービス「サクララ」の本格展開。現金やカード、スマートフォンなどを使わずに、指の静脈だけで買い物ができる仕組みで、今後、東武グループの飲食店やホテルを始め、家電量販店など100店舗以上に導入される予定です。 指の静脈を使った認証は、顔や指紋など他の生体認証に比べて格段に精度が高いといいます。 その「指の静脈」を使った決済サービスを今年4月から導入しているのが東武ストアの一部店舗です。埼玉県越谷市の店舗では、6台あるセルフレジの全てが指静脈決済に対応しています。 「客がスムーズに購入できるので、レジの流れが速くなる」(「東武ストア」経営企画部の山田耕太郎部長) 指静脈決済では、決済時間が従来のセルフレジの半分に短縮。客も「手ぶらでできるので便利。孫を抱えていると手だけで(決済)できるので」と話します。 またセルフレジで酒を購入する場合、これまでは年齢確認のため店員を呼ぶ必要がありましたが、この指の静脈による決済では、年齢がすでに登録されているため、そのまま決済が可能になります。これが店員の負担軽減にも繋がっているといいます。 現在、指静脈の登録は一部の東武ストアや駅で行うことが可能になっています。取材した店舗では、4月にサービスを導入後、指静脈決済に登録している人の来店頻度と売上は、それぞれ2割アップしたとしています。 「将来的には無人のレジの利用率が上がることによる人件費等のコスト圧縮を期待」(山田部長) 東武鉄道と日立製作所は、この指静脈認証の利用者を2000万人まで増やすことを目標に掲げていて、利用者拡大に向けて動き出しています。 そのパートナーとなるのがコンビニ大手のファミリーマートです。ファミリーマートでは、2026年度をめどに100店舗で導入することが3日発表されました。コンビニ業界では、指静脈による決済を導入するのが初めてになる見通しで、ファミリーマートにとっても、他社との差別化に期待を寄せます。 ファミリーマートのフランチャイズオーナーの矢澤武士さんは、「非常にスピーディーな買い物が求められているので、指静脈決済によってわれわれの店が選ばれるようになるといい」と話します。 コンビニの利用客も「すごい楽だと思う。毎回使いそう」「金を使っている感覚がなくなるので少し不安」と話します。 広がる新たな決済サービス。東武鉄道の前田隆平執行役員は「コンビニエンスストアで利用されるのは非常に効果がある」と期待します。指静脈決済は、現在クレジットカードと紐付けることによって支払う仕組みですが、今後は銀行口座やQRコード決済などとも紐付ける考えも明かしました。 技術開発を担う日立製作所の石田貴一さんは「本人が確認できる特徴があるので、なりすまし防止・不正転売防止ができる。日本社会のインフラになることを最終的には目指している」と話しました。 ※ワールドビジネスサテライト