建設業の“2024年問題”建機の遠隔操作で人手不足解決【WBS】
建設業界では、ことし4月から時間外労働の上限規制が適用され、人手不足が深刻になる「2024年問題」が課題となっています。これに対応するため、現場でのDX化が進められていますが、NTTコミュニケーションズはイーロン・マスク氏が手がける衛星通信「スターリンク」を使って、建設現場の課題を解決するサービスを発表しました。 「千葉県柏市に来ました。あちらのショベルカー、運転席には誰も座っていません。無人で動いています」(藤野慎也記者) NTTコミュニケーションズが6日から始めた、どんな場所でも建設機械を遠隔操作できるという新サービスです。 都内のオフィスから長部稀キャスターも遠隔操作を体験してみます。 「千葉にあるショベルカーを遠隔操作してみたいと思います。レバーを実際に操作してみると映像の中で(ショベルカーが)動きました」 およそ30キロ離れた千葉県柏市では、実際に重機が動き、土を運搬することができています。もちろん、現場は無人です。 「遅延もそこまでないので、東京のオフィスからでも問題なく操作ができました」(長部キャスター) このサービスの最大の特徴は、イーロン・マスク氏が率いるスペースXの衛星通信システム「スターリンク」を活用していることです。 「カバー範囲が違うのでスターリンクを使った方が全国いろいろなところで使いたい要望に応えられる」(「NTTコミュニケーションズ」スマートワークサイト推進室の小野文明室長) スターリンクを使うことで、災害現場や5Gの基地局がない地域などでもスムーズな遠隔操作ができます。
もう一つの特徴がショベルカーに付けられた白い箱。遠隔操作システム「Model V」のデバイスです。提携する東大発のスタートアップ「ARAV」が開発しました。重機に後付けで装着できるため、古い重機でも遠隔操作ができるようになります。 「遠隔操作に関しては危険を回避できる。長期的な労働で健康被害が起きるリスクを回避できる」(「ARAV」白久レイエス樹代表) 背景にあるのは建設業界の「2024年問題」です。建設業界は長時間労働が慢性化していて、年間の労働時間が全産業と比べ68時間長くなっていました。4月から時間外労働の上限規制が適用されたことで、人手不足が深刻化しています。 他社の事例では日立建機が施工現場をリアルタイムで仮想空間に再現するシステムを開発。遠隔での作業の進ちょく管理を可能にした上、自律運転の実現を目指し開発を進めています。建設現場のDX化の市場規模は今年度586億円。2030年度には1250億円に拡大する見込みです。 「ICT活用をやっていかない限りは本当に工事ができなくなるということが突きつけられる」(NTTコミュニケーションズの小野室長) ※ワールドビジネスサテライト