<上海だより>シェア自転車の児童事故死(上)12歳未満法律で禁止のはずが…
しかし、肝心の鍵の解除という部分ですが、今回の事故発生時に使用されていたofoというサービスの仕組みに問題がありました。 シェアリング自転車事業のパイオニアであり、昨年にも紹介したmobikeというサービスの仕組みは、アプリ内でQRコードをスキャンしない限りには、鍵を開けることはできないのですが、ofoの場合は乗りたい自転車の番号をアプリ内で送信すると、その自転車の四桁の暗証番号が表示され、手動で自転車の暗証番号を整えて鍵を外すという仕組みになっているのです。 そのためアプリがなくても、手動で番号を回しながら暗証番号を探し外す、あるいはその前に使用していた人が暗証番号の並びを崩さずにそのままで放置した場合、そのまま他の人が自転車を使用できてしまうという事態が起こり得るのです。そのため、本来使用できないはずの児童が自転車を運転する事態を引き起こしたとも考えられます。 被害に遭われた児童とそのご家族には心からお悔やみを申し上げつつも、日本においても多数発生している児童の交通事故への反応と比べた場合に、なぜ中国では1件の交通事故がこれほどまで社会問題になっているのでしょうか。 それは単に、話題のシェアリング自転車を使用していたからでしょうか。しかし今回の事故の後、ofoのようなシェアリング自転車のサービス会社に対する責任追求というよりは、12歳未満の児童に自転車を運転させないように、という法律再確認の議論の方が中心になっているようで、日本の感覚からすると少々不思議な思いを抱かざるを得ません。 確かに、法律上定められているのですから、そう言わざるを得ないということもあります。しかし、小学校低学年の児童でさえ自転車を運転している日本の感覚や視点から、別の議論も可能なのではないでしょうか。次回以降はこの点について、掘り下げていきたいと思います。