<上海だより>シェア自転車の児童事故死(上)12歳未満法律で禁止のはずが…
THE PAGE
昨年の記事でもお伝えした上海をはじめとする中国都市部で人気のシェアリング自転車ですが、瞬く間に事業会社も増え、今や上海市内だけで12社以上のサービスが存在し、市内に出回っている自転車は45万台にも達していると言われています。 <上海だより>自転車シェアリング人気加熱 破格30分15円「摩拜単車」登場 各社プロモーションも熾烈を極めており、無料の乗り放題キャンペーンも毎週末のように行われ、街中で見かけるほとんどの自転車がこれらシェアリング自転車なのでは、と思ってしまうこともあるほど上海の風景を一変させました。
一方で、あまりの急激な変化のために道路事情が乱れ、交通ルールなどの面で懸念も増えており、最近では警察による違反運転の一斉取り締まりも行われています。そんな折に、小学校四年生の児童がシェアリング自転車を運転中に交差点で、大型旅客バスの車体に下部に巻き込まれ死亡した交通事故が発生し、中国全体の社会問題となっていました。
一般的に、このような交通事故であれば、第一当事者と第二当事者の明確化と、事故発生の経緯という二点は最低限必要な情報になるかと思います。 しかし、中国メディアで発表されている記事には上記の内容に触れたものがほぼなく、概ね12歳未満の児童がなぜシェアリング自転車に乗れたのか、どうすれば乗せないようにさせられるのか、あるいは12歳未満の児童がシェアリング自転車に乗らないよう注意喚起をしているか、という内容になっています。 中国における議論の争点を理解するために、まず、日本と中国では道路交通法も異なるため、一度その違いを整理しておく必要があります。 中国では、12歳未満の児童は原則、自転車(三輪車を含む)の運転を禁止されています。これは、2004年に施行された《中華人民共和国道路交通安全法実施条例》の第七十二条により明確に定められています。 一方、日本では《道路交通法 第六十三条の四項二号》により、“普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるもの”が歩道を自転車で通行できると定められていますが、13歳未満の児童と幼児の自転車運転を禁止していないと言えます。 実際、日本の多くの家庭ではお子さんが、小学校低学年から補助輪なしで自転車を運転し、近所の友人宅へ一人で行かせることもあると思います。中国においては、まずここが異なるのです。 では次に、なぜ12歳未満の児童が法律で禁止されているにも関わらず、シェアリング自転車を運転していたのか、という点についてです。 これらのサービスはほぼスマートフォンのアプリを通じて、鍵のロックを解除する仕組みを取っています。かつ、アプリで会員登録をする際には身分証明書を写真付きでアップロードし、認証確認が完了してから使用可能となり、12歳未満の児童が会員登録はできないようにも規定されていますし、認証確認時点で対象外とみなされます。 認証という点について、シェアリング自転車運営会社の過失は現時点ではないようです。