[知りたい!介護保険]専門職が自宅訪問してくれる「居宅療養管理指導」 受けられる支援や料金は?
薬剤師や管理栄養士などの専門職が自宅を訪れ、医師や歯科医師の指示に基づいて療養生活のアドバイスをしてくれる介護サービスがあります。「居宅療養管理指導」です。要支援1~要介護5の人が、通院が難しい場合に使えます。職種ごとに料金や利用回数の上限が決まっています。 【図解】ペットボトルのふたはどう開けている? 開け方でわかるフレイルのサイン
岐阜県海津市のさくら薬局海津店では、店から車で30分圏内を対象に、薬剤師が薬を届け、服薬の管理や健康相談に乗ってくれます。 薬剤師の側瀬(がわせ)恵里さん(41)によると、利用のきっかけは、「本人も家族も高齢のため薬局まで行けない」「認知症があり、一人暮らしで飲み忘れが多い」など様々。訪問することで自宅での生活の様子を薬剤師が見られるため、その人に合ったサポートが受けられるそうです。 例えば、飲み忘れを防ぐ工夫です。その日に飲む分を入れるポケットが付いた「お薬カレンダー」なのか、卓上の配薬ボックスや、設定した時間に薬を出してくれる「服薬支援ロボット」なのか――。服用が難しければ、飲む回数を減らせるよう薬の変更を医師に提案する場合もあります。処方された薬や市販のサプリメントとの飲み合わせも確認してくれます。 自己負担1割の人が薬局の薬剤師の訪問を受けた場合、料金は1回518円(月4回まで)です。 同店は訪問診療の医師からの紹介が多いそうですが、薬局に直接、依頼することもできます。側瀬さんは「元気なうちから、相談しやすいかかりつけの薬剤師を探しておくとよい」と話します。
居宅療養管理指導では、管理栄養士に食生活の相談もできます。 訪問栄養指導を行う「くれはクリニック」(大阪府茨木市)の管理栄養士、粟野彩さん(39)によると、「減塩食はどんなものを食べたらいいのか」「食欲や体重が減ってきた」など、家族やケアマネジャーからの相談で利用が始まることが多いそうです。 訪問は1回30分以上で、料金は545円(月2回まで)です。体の状態や食生活を聞き取り、その人の病状や食べる力に合わせた献立、介護食品、栄養補助食品の活用を提案してくれます。希望すれば、一緒に調理もできます。 粟野さんは「しっかり食べて栄養状態が改善すれば、体調を崩しにくくなる。ぜひ活用してほしい」と話します。 利用するには、訪問診療医やケアマネジャーに相談してください。 このほか、歯科衛生士の訪問を受けることができます。口の中のケアや入れ歯の手入れ、歯磨きの仕方を指導してくれます。食べたり飲んだりする機能が落ちている場合、リハビリや食事の取り方のアドバイスも受けられます。訪問は1回20分以上で、料金は362円(月4回まで)です。 いずれのサービスも、利用料金のほかに、交通費や食材費などの実費がかかる場合があります。事前に事業所に確認しましょう。(小沼聖実)(2024年11月5日付の読売新聞朝刊に掲載された記事です)