<アグレッシブ・’21センバツ東海大甲府>第2部 支える/2 トレーナー・加賀美祐樹さん 体づくりを後押し /山梨
◇筋トレ強化、飛距離アップ 「選手たちのコンディションを上げるのが自分の仕事。体を大きくするだけではなく、けがをしない体づくりをアドバイスしたい」。加賀美祐樹さん(28)は2019年9月から、東海大甲府野球部でトレーナーを務めている。筋力トレーニングや体幹の強化を中心に指導し、選手からの信頼も厚い。 笛吹市出身。父や兄の影響で小学2年から野球を始め、甲子園を夢見て強豪・東海大甲府の門をたたいた。甲子園出場は果たせなかったが、山梨学院大でも野球を続け、現在は甲斐市のフィットネスジムで働く傍ら、社会人野球チーム「甲斐府中クラブ」(甲府市)に所属している。 トレーナーとしての知識は野球選手として過ごした学生時代の実体験やトレーナーの資格勉強を通じて習得したものだ。指導するのは毎週火曜日と木曜日。全体練習前に柔軟体操やダッシュをこなす選手の姿勢を見て、体の軸がぶれていないかなど状態を確認する。練習後は筋力や体幹トレーニングに取り組む選手にアドバイスを送る。「鍛えている筋肉がどのようにプレーに役立つのか、意識させるよう教えている」と説明する。 新型コロナウイルス感染拡大で全体練習ができなかった時期は、水を入れたペットボトルをバーベル代わりに使い、自宅でできるトレーニングをオンラインで教えた。心掛けているのは積極的なコミュニケーションだ。熱心な指導に加え、年齢が近いことから選手たちにとって頼りになる存在で、中軸打者の一人、猪ノ口絢太選手(1年)は「思ったことを素直に言えて相談しやすい」と話す。 加賀美さんは、昨秋の関東大会準決勝で敗れた常総学院(茨城)の選手との体つきの違いを痛感し、今冬は筋力トレーニングの強化を進めてきた。猪ノ口選手は加賀美さんのアドバイスもあり、体重を7キロ増やした。食事量を増やし、トレーニングで背中や下半身に筋肉を付けたことで、打球の飛距離は確実に伸びている。 センバツ開幕まで1カ月。加賀美さんは「甲子園でベストパフォーマンスが出せるように選手たちの背中を後押ししたい」と話す。【金子昇太】=つづく