11月に0.25%の利下げが現時点でのコンセンサスに(9月米CPI):大統領選挙とFOMC直前に発表される10月雇用統計への注目度が高まる
大統領選挙と次回FOMC直前に発表される10月分雇用統計への注目度が高まる
9月17~18日のFOMCでは、0.5%の大幅な利下げが決定された。ボウマン理事のみが0.25%の利下げを主張し、投票権を持つ12人の中で唯一決定に反対票を投じた。しかし、9日に公表された議事要旨では、一部の出席者が「0.25%の方が好ましい」と述べ、別の数人がその決定を支持した可能性を示したと記述された。複数人は0.25%の利下げを前向きに検討していたことが明らかになったのである。 そうしたなか、10月4日に発表された雇用統計が上振れたことから、次回のFOMCでは、利下げ幅が0.25%に縮小されるとの見方が強まったのである。しかし、利下げが見送られるとの見方は少数派だ。FRBの利下げは今後も続けられるとの金融市場の期待は揺らいでいない。 アトランタ連銀のボスティック総裁は10日に、9月CPIを受けて、11月のFOMCで「利下げを休止すべきかもしれない」と述べたと報じられた。ただし同氏は、9月のFOMCの経済見通しで、年内11月と12月に予定されているFOMCで1回分の追加利下げを予想していたとされる。つまり、もともと連続した利下げを支持していなかった少数派の一人と考えられる。 他方、米シカゴ連銀のグールズビー総裁は10日に、9月CPIを受けて、「過度に懸念していない」、「12~18か月間の傾向でみれば、インフレ率は低下している」と述べ、FRBはもはや物価上昇圧力だけを気にすることはないとの考えをあらためて示した。またニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、10日の講演で、米金融当局が担うインフレと雇用という責務達成のリスクバランスが改善しているとし、政策当局が中立金利水準に向けて「時間をかけて」政策金利を引き下げていく(時間的)余地があるとした。 こうした当局者の発言も受けて、11月の次回FOMCでは0.25%の利下げが行われ、また、2025年には政策金利は現在の4.75%~5.0%から3%台にまで引き下げられる、との金融市場の期待が形成されている ただし、11月1日に発表される10月分雇用統計は、11月6~7日の次回FOMCでの政策決定に大きな影響を与えるだろう。さらにこの雇用統計は、11月5日の大統領選挙直前に発表され、その結果にも影響を与える可能性がある。 この2つの大きなイベントを控え、10月分雇用統計は極めて注目度の高い経済指標となっている。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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