性的暴行被害の女性「本当に苦しんだ」 元大阪地検トップ公判
大阪地検元検事正で弁護士の北川健太郎被告（65）から性的暴行の被害を受けたとする女性が25日、大阪市内で記者会見を開き、「被害を受けてから約6年間、本当に苦しんできた」と語った。女性は自らが現職の検事だと明らかにした。 準強制性交等罪に問われている被告はこの日、大阪地裁で開かれた初公判で起訴内容を認めた。 閉廷後、会見した女性は「検事として被害者とともに泣き、闘ってきた」と語り、「性犯罪や虐待などで声を上げられず苦しんでいる被害者がいる。私の経験を話すことで、被害者のために寄り添いたいと思った」と述べ、会見を開いた理由を語った。 続けて、自らの被害については「ほぼ誰にも言えず、苦しんだ」。尊厳を踏みにじられ、家族との平穏な生活も全て壊されたと振り返った。 被告が検事正在任中の事件だった。「本来なら懲戒免職され、弁護士にもなれなかったはずだ」と強調する。にもかかわらず、被告には事件を忘れたかのような振る舞いが見られ、感情を逆なでされた。怒りや悔しさも重なり仕事を休んだ時期もあったが、「適正に処罰してほしい。私を救ってほしい」との思いが強まり、声を上げた。 被告は6月下旬に逮捕された当初は否認していたとされる。初公判で起訴内容を認めたが、女性は「私の処罰感情が和らぐはずはない」と語ったうえで、こう強調した。「悪いのは被告。被害を恥とは思っておらず、私は堂々としていたい」 起訴状によると、被告は2018年9月12日深夜～13日未明、大阪市内の自身の官舎で性的暴行をしたとされる。検察側の冒頭陳述によると、被告は女性らと懇親会で酒を飲んだ後、官舎で女性と2人きりの状態だったという。 被告は大阪高検次席検事や最高検刑事部長などを歴任し、18年2月に大阪地検検事正に就任した。全国に八つある高検で、トップとなる検事長になる可能性もあったが、定年前の19年11月に退官。その後は大阪弁護士会所属の弁護士となり、企業の取締役などを務めていた。【高良駿輔】
