日銀・黒田総裁会見6月16日(全文3)政策主体に対して失礼
日銀に財政規律をゆがめている責任があるのでは
朝日新聞:あともう1点ありまして、財政規律の話なんですけども、先ほど総裁おっしゃったように相当今の危機対応というのが長期化も覚悟されているということなんですけども、いろんな予算を組んで国債も増発されて財政が悪化するという懸念があって、アメリカの格付け会社なんかがアウトルックですけども、見通しを引き下げたというような発表も先週ありました。 それで、長期化した場合に財政への信認とか通貨の信認っていうそういうリスクシナリオとして、そういうことが揺らいでというようなリスクというのは、総裁先日、4月の会見で財政規律については日銀の責任というよりも国会だというお話がありましたけれども、今のマーケットの金利の状況を見ていますと、いくら政府が予算増やして財政悪化しても、長期金利っていうのはほとんど動いていないということで言いますと、日銀にもある程度そういうのを促しているというか、財政規律をゆがめている責任というのがあるんじゃないかという気はするんですが、その点はどうでしょう。 黒田:そこは、やっぱり財政政策っていうのは政府と国会が決めるわけでして、あたかも政府と国会が日銀のオペレーションで受動的にマニピュレートされるというふうに考えるのは政策主体に対しても失礼だと思うんですね。それは財政規律が緩むか緩まないかは政府や国会の人に聞いていただかないといけない話で、中央銀行がそういうことを、規律を強めるとか弱めるとかいうことはわれわれも考えていませんし、経済学者も考えてないと思いますね。 だからこの議論は、なんて言うんでしょうかね。経済政策の主体っていうものをどう考えるかっていうことによるんで、政策主体が独立のものとしていろんなことを考えて決定しておられるものについて、その主体の意図とか何かを客観的に外から見て分析する話と、その主体の責任と権限においてやっていることをどう評価するかということは別の話であって、少なくとも中央銀行が財政に何かエキストラな影響を与えていると、財政政策の決定にですね、というのはそういう主体に対して私が思うには失礼な話だと思いますけどね。だから私からそういうことを申し上げるつもりはまったくありません。