競馬を陰で支える馬運車を潜入取材! 「競走馬ファースト」の秘訣に迫る(後編)
もちろん、運転も馬優先。急アクセル、急ブレーキ、急ハンドルは厳禁。段差があれば当然徐行する。競走馬の輸送経路は基本的に指定されているが、渋滞や天候状況(雪や台風による交通規制など)によってはJRAと相談しながら必要に応じて変更することもあるという。
高速道路などで日本馬匹の馬運車を見た方もいるかと思うが、一度見たら印象に残るのは必至。白を貴重とした車体にはJRAのロゴマークのほか、馬運車ごとに過去の名馬の名前が書かれているからだ。馬運車につける馬名として一番に優先されてきたのは歴代ダービー馬。近年は車両の数が増えたことで、顕彰馬や年度代表馬も使われている。日本馬匹は美浦トレセン所属馬の輸送が多いことから、グラスワンダー、グランアレグリア、ヒシアマゾンといった顕著な成績を挙げた美浦所属馬の名前もつけている。なお、栗東トレセン発着の競走馬輸送は関西方面を拠点とする別の輸送会社数社が担当している。
東京特殊車体の工場を取材した際、完成間近だった馬運車はキングカメハメハ号の2代目(まだ名前は入っていなかった)。日本馬匹ではおおよそ17年周期で車両を入れ替えるそうで、今回納入間近の馬運車につけられるのはディープインパクト号とキングカメハメハ号の超名馬の2頭! どちらも大好きな馬。街中で見かける機会があれば、「見ると幸せになれる」といわれる新幹線の点検用新幹線車両のドクターイエローのように「ラッキー」と思うこと必至だ。