由来を教えて!劇団名50 その48 娑婆駄馬
次々と新たな作り手が頭角を表す演劇界。数ある劇団の中から、ジャケ買いならぬ“劇団名買い”で観劇に行った経験はないだろうか。チラシやニュース、SNSなどで目にする劇団名は、シンプルなものから不思議な音の響きを持つもの、「どういう意味?」と目を引くものまでさまざまだが、それには名づけ主の希望や願い、さらには演劇的活動戦略が込められているはず。このコラムでは多彩な個性を放つ若手劇団たちの、劇団名の由来に迫る。劇団名が持つ秘密と共に、未来の演劇界を担う彼らの活動の軸を紐解いていく。 【画像】娑婆駄馬の過去の公演より。(他1件) 48番目に登場するのは、娑婆駄馬。桜美林大学出身の演出家エレナ・ファノラキスと制作・及川晴日による娑婆駄馬は、地獄をも天国に変えられるようなエンタテインメントを目指し、“歌わない和製ジュークボックスミュージカル”を創作している。宮沢賢治「よだかの星」を原作にした「美美しき」開幕を控える彼らに、劇団名の由来を教えてもらった。 ■ 娑婆駄馬 □ Q. 団体名の由来、団体名に込めた思いを教えてください。 「シャバダバ」って楽しくて、音楽っぽい!と音から決まりました。 「娑婆」は仏教用語で“忍耐”を意味する言葉で、江戸時代の遊郭では吉原を「極楽」に見立て、吉原の外を「娑婆」と呼んでいたそうです。 ですが、嫌々遊郭で働く女郎からしたら「娑婆(外の世界)こそ自由の世界」と意味が転身し、牢獄の外など自由な世界を「娑婆」と呼ぶようになりました。 そんな「娑婆」という言葉のように地獄をも天国に変えられるようなエンタテインメントを届けたい!と字を宛てました。 また、最初の公演のシェイクスピア「じゃじゃ馬ならし」から「駄馬」とつけ、下等な馬と言われても負けずに挑戦し続けたくなる作品を届けられるように!という想いで「娑婆駄馬」と名付けました。 □ Q. 団体の一番の特徴は? 「己の存在証明をブッ立てろ」をモットーに、古典文学を日本の既成楽曲に合わせて踊る“歌わない和製ジュークボックスミュージカル”を作っています! 物語としては、フェミニズムやジェンダーをテーマに取り扱っています。 □ Q. 今後の目標や観客に向けたメッセージをお願いします。 ハチャメチャで人生の嫌なことなんてぶっとばしてしまう作品を届けていきたいと考えています! 世界に味方を作れるようなそんな団体になっていきたいです。 食感はエンタテインメント、味は奥深い「娑婆駄馬」を是非ご賞味ください! 娑婆駄馬 桜美林大学出身の演出家エレナ・ファノラキスと制作及川晴日のユニット。2024年に第1回公演「R⇔J」を上演した。