【2024 MotoGP 第19戦マレーシアGP】バニャイアが今季10勝目を挙げるもマルティン優位で戦いは最終戦に
2024年11月1日から3日にかけて、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでMotoGP第19戦マレーシアGPが行われた。今シーズンも残すところあと2戦。Moto2クラスとMoto3クラスでタイトルが決定する中、最高峰クラスでは熾烈なチャンピオン争いが繰り広げられている。天王山となる今大会はタイトル争いの行方を大きく左右する1戦となる。 【写真はこちら】MotoGP 第19戦マレーシアGPで活躍したライダーたちの雄姿 ●バニャイアがまさかのノーポイント! マルティンがスプリントを制しタイトル獲得に前進! スプリント前に行われた予選では、初日から速さを見せたランキング2位のフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)が獲得。ランキング首位のホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)が2番グリッド、3番グリッドにはアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)がつけた。 スプリントレースの前に豪雨と洪水で大きな被害を受けた最終戦の地バレンシア地域に向けて1分間の黙祷が捧げられた。甚大な被害を受けたバレンシアでのレース開催は中止となり、国際モーターサイクリズム連盟とドルナスポーツは代替案を検討。新たな開催地と日程は決定次第発表するとアナウンスされた。 気温30度、路面温度40度のドライコンディションの中、10周のスプリントレースがスタート。バニャイアとマルティンが並走しターン1へ突入。インを取ったマルティンがホールショットを奪い、バニャイアは2位につけマルティンを追う。 3位にはアレックスに代わり、マルク・マルケス(Gresini Racing MotoGP)が好スタートを決め3位に浮上。このマルケスを加えた上位3台が抜け出す展開となった。 3台は僅差で連なるも順位変動なく周回。バトルはレース終盤で繰り広げられるかと思われる中、2位のバニャイアが3周目のターン9でまさかの転倒。初日から圧倒的な速さを見せ、マルティンにプレッシャーをかけていたバニャイアだったが、痛すぎるノーポイントに終わってしまった。 ライバルの転倒という思わぬ展開となったマルティンは優勝を目指しペースアップ。2位のマルケスを引き離しにかかる。マルケスもペースを上げその差が縮まる場面もあったが、マルティンはそれ以上の接近を許さなかった。 マルケスを寄せ付けない走りを見せながらもミスすることなくレースを引っ張ったマルティンがトップチェッカー。バニャイアが転倒する中、貴重な勝利を挙げた。2位にマルケス、3位にはエネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)が入った。 この結果、マルティンとバニャイアのポイント差は17から29に拡大。マレーシアGP終了時点でその差が38ポイントまで広がれば、最終戦を残してマルティンのタイトル獲得が決定する。 ●バニャイアがマルティンとの死闘を制し今季10勝目! 天候に恵まれるも熱帯特有の高温多湿となった決勝日。気温34度、路面温度52度の灼熱のコンディションの中、20周のレースがスタートした。 スタートではスプリント同様にバニャイアとマルティンがサイドバイサイドでターン1に侵入。バニャイアがトップを守り切る中、後方ではファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)、ブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)、ジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)の3台が絡む多重事故が発生。 マシンの撤去やコース整備のため、レースはいきなり赤旗中断となった。ミラーはクアルタラロのリアタイヤと接触し救急車で搬送されるも、再スタート前には自力で歩きながらピットに向かう姿が確認されている。 レースは1周減算の19周でリスタートされることになった。再スタートでもバニャイアがスタートを決めホールショットを奪う。しかし、ここからマルティンとバニャイアの激しい優勝争いが展開された。 トップの2台は手に汗握るバトルをしながらも、3位のマルケスとのギャップを広げていく。バニャイアとマルティンが異次元のレベルで走っていることを再認識できるような走りを見せた。 4周目に入るとバトルは落ち着き、バニャイアが早くもスパートを開始。マルティンとの差は1秒にまで広げることに成功した。 8周目、3位につけていたマルケスがターン14で転倒。コースに復帰するも3位の座を手放してしまった。 これでバニャイアとマルティンの完全な一騎打ちとなった優勝争いだが、トップのバニャイアが更にギャップを拡大。周回を重ねるにつれ、その差は徐々に広がっていった。 レースの最終盤にはバニャイアのペースが下がり、マルティンが差を詰め始める場面もあったが、マルティンもあわや転倒かというような危うい瞬間もあり逆転には至らなかった。 最終的に3秒ものギャップを築いたバニャイアが優勝し今季10勝目を獲得。マルティンのタイトル獲得を阻止し、チャンピオン争いは最終戦に決着することになった。 マルティンは2位を確保し両者の差は24ポイントに。決勝ではバニャイアに優勝を明け渡すも、マルティンにとってはかなり有利な状況で最終戦に挑むこととなった。 3位にはバスティアニーニが入り表彰台を獲得。ランキング3位を争うマルケスがリタイアしたため、ポイント差はわずか1ポイントに。こちらも熾烈な戦いが最終戦にまでもつれることになった。 現時点で最終戦はバレンシアに代わり、カタロニアサーキットでの開催が有力視されている。バニャイアの3連覇達成か、はたまたマルティンが2001年のヴァレンティーノ・ロッシ以来となるインディペンデントチームでのタイトルを獲得するのか。全ては最終戦で決着する。
河村大志