小型軽量ゲーミングマウスの極地、2024年現在の答えは「ROG Harpe Ace Mini」
このコラムは、編集部員やライターがこの1年を振り返り、実際に買って「良かった!」と思う製品を簡単に紹介するコーナーです。 【画像】「ROG Harpe Ace Mini」のホワイトモデル。派手過ぎず上品なデザインだと思う 筆者の手は成人男性にしてはかなり小さいらしい。マウスの操作は手首の位置は固定で、手先の動きだけにしたい。センサー解像度は2,000dpiと決めている。マウスボタンは原理上チャタリングが起きない光学式スイッチがいい。 よって使用するマウスは、解像度調整が可能なゲーミングマウスで、できるだけ小型かつ軽量の、光学式スイッチ採用製品を探している。 この条件を満たす製品として、Razerの「Viper Mini」を4年ほど使用していたのだが、なんとサイドボタンがチャタリングを起こすようになってしまった。分解してスイッチに接点復活剤をさしてみるも、完全には改善せず。これは寿命と言わざるを得ない。 やむなく次の製品を探したところ、ちょうどいいタイミングで発売されたのが、ASUSの「ROG Harpe Ace Mini」。ワイヤレスで、重量は内蔵バッテリ込みで49gと軽い。Viper Miniとほぼ同等のサイズで、61gだった重量はさらに軽量化される上にケーブルもなくなる。 本製品を初めて見たのは今年の東京ゲームショウ。ブースを案内していただいたASUSの日本人女性スタッフからの要望で、手の小さい女性にも使いやすい製品として開発されたと聞いた。現地で触った時には、それでもまだ少し大きい感じで、特に高さがあるなと感じたのだが、軽さは確かに抜群だった。 ということで改めて実物を触るべく、12月上旬に秋葉原へ向かった。「GALLERIA esports Lounge」で店員さんに「とにかく軽くて小さいマウスを探しているんですが、おすすめはありますか?」と尋ねたところ、レジの奥にある製品を次から次へと出していただいた。 おおまかなサイズはスペックを調べれば分かるが、製品ごとに形状や表面加工は異なるので、やはり触ってみないと分からない。コロナ禍以降はネット通販に頼ることも増えたが、やはり実店舗で選べる楽しさは格別。最終的には筆者の希望を通して購入したが、気持ちよく買い物ができた。 さて、ようやく本題の実物。ブラックとホワイトの2色があり、筆者はホワイトを選んだ。ゲーミングデバイスは黒ばっかりで嫌なので、少しずつ脱却を図りたい。 製品写真でホイール部分が青い色をしているのは、内蔵LEDが光っている状態を示している。光らせなければグレーの半透明。 左右対称形状で、左側に2つのサイドボタンを搭載。ホイールはチルト操作なし。機能としてはとてもシンプルである。ボタンはメイン、サイドともにカチカチと高めの音がする。個人的には静かな方が好きだが、ボタンの感触は軽く、それでいてクリック感が感じられるので悪くない。 表面加工は微細な凹凸になっており、とてもサラサラした手触り。以前の製品ではもう少し凹凸が大きめのザラザラしたものだったが、変更したそうだ。これだと手汗が気になるかなと思ったが、意外とそうでもなく快適に使えている。グリップテープも標準で付属しているが、手触りが気に入ったので使用していない。 バッテリは2.4GHz帯ワイヤレスでおよそ2週間ほど使用して、やっと半分近く減った。1日で何割も減ることはなさそうだし、ある程度減った時点でLEDによる通知を出す設定もあるので、不意の電池切れの心配はなさそうだ。バッテリの寿命があるとしても数年使えれば十分だし、最悪、有線接続で使い続けられる。 気になるサイズ感は、Viper Miniより少し幅広で、わずかに高さがある。それでも入れ替えの違和感は少なく、軽さとワイヤレスの快適さを享受できた格好だ。高さはもっと低い方がいいという個人的な好みを加味しても、90点くらいはあげられる。特にワイヤレスはあまりにも快適で、有線接続のマウスは今後はもう買わないと思う。 あと製品付属のUSB Dongle Extender(USB Type-CからType-Aに変換するアダプタ)があるのだが、クリップを使ってマウスパッドに取り付けられるのも便利。ワイヤレスアダプタがマウスのすぐ近くにあって安心だし、充電時にはUSBケーブルを抜いてマウス本体につなぐだけでいい。 全体としてはとても満足感の高い製品なのだが、難点は2つ。1つは2万円近くする高価格だ。ゲーミングマウスで2万円は最近では珍しくはないものの、最高級に近い価格帯になる。とてもいい製品で皆さんにおすすめしたいが、この価格を見るとなかなか悩ましい。 もう1つは、同社の別のマウス「ROG Keris II Ace」の存在だ。ROG Harpe Ace Miniと比べるとスペック上では少し大きく、重量も54gでわずかに重い。しかし左右非対称形状のため、握りが自然で操作感がいい。 2つの製品を並べると、表面加工やスペック、見た目のサイズ感など、姉妹機かと思うほど似ている。しかもこちらにはポーリングレートを8,000Hzに上げられる「ROGポーリングレートブースター」が付属していて、価格もちょっと安い。 店頭で持ってみて、「こっちのほうがしっくりくるなあ」と悩み、今回は軽さ最優先でROG Harpe Ace Miniを購入したものの、「やっぱりあっちの方がよかったか」とまた悩んでいる。いっそ両方買って、余った方は家族にプレゼントしてもいいのだが……などと書くと妻に怒られそうなのでこの辺で。
PC Watch,石田 賀津男