昨季“どん底”8登板から“復活”自己最多53登板「すごく大きかった」広島サイド左腕を変えた「魔法の言葉」
言葉は、人生を大きく左右する。そのことを実感したのは、プロ10年目で自己最多53登板し、2勝0敗、16ホールド、防御率1.58の好成績を残した塹江敦哉投手(27)だろう。20、21年に50登板以上しながら、昨季は8登板のみ。今年もキャンプは2軍スタート。年齢などを考えても「本当に一番下だった」と、どん底からの復活だった。 その左腕が「すごく大きかった」と振り返るのは、春季キャンプでの自身に対する新井監督の言動だった。“昇格試験”のシート打撃に登板して好投した後、指揮官が報道陣に「『自信に満ちた表情をしていた』と書いといて」と伝えた。当然、投球を評価した上でのことだが、その後も「塹江くん、雰囲気出してきたね」「開幕(投手)は塹江」、お笑いコンビ・ガレッジセールのゴリが演じる女性キャラクターと名字が似ていることから「登録名を『ゴリエ』に変えるらしい」と“いじり”を連発したのは期待の表れ。その数々が“魔法の言葉”となって、左腕の背中を押した。 サイドスローへの転身は、昨オフの黒田球団アドバイザーの助言から。さまざまな言葉が、塹江の周囲を取り巻いた。「フォーム変更のきっかけもそうだし、監督から春に『過信に満ちあふれている』と言ってもらって。いいストーリーだなと思いながら(シーズンを通して)プレーできた」。ちなみに過去の取材メモを調べ返しても、新井監督の「過信」という発言は見当たらない。実は報道陣が「自信」という言葉を誤って伝えた説が有力ではあるが…。 11年目の来季に向けて「100登板。冗談です(笑)」と打ち消しながら、「それだけ必要とされることはすごい。そういう意味で本気ですし、そこに向けた体の準備という意味でも本気です」と、力を込める。来季も、ブルペンに欠かせない塹江の“過信”は続きそうだ。(広島担当・畑中 祐司)
報知新聞社