【前編】カナリアさんちのお引越し~私たち夫婦が都内おんぼろ団地に住み替えた理由~
2023年、都心のマンションから築古団地に引っ越したという〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバー・Canaria(カナリア)さん。物件探しをする中で、自身の価値観を見つめ直すことになったといいます。住まいへのこだわりや思いを、前編/後編にわけてお聞きしました。 【画像一覧を見る】
【1】8年間お世話になりました
まずは、転居前のお話から。わたしは2016年3月に夫と結婚し(※このあたりのお話は『46歳で10歳年下の夫と結婚したカナリアさんの話①』に)、すぐに部屋探しを始めて見つけたのが、前の賃貸マンションでした。 当時の夫は結婚したて、さらに転職したて。入社後、ようやく勤務地が都内某所にある支店に決定したのは、新生活を目前に控えた3月末のことでした。新居探しで私たちに与えられた時間は、ごくわずか。たった一日でいくつもの物件を内見し、「まぁここなら……」と消去法で即決したのが、ここだったのです。 急場しのぎで決めた部屋ですが、築浅で清潔感があり、なにより街の利便性にずいぶん助けられました。徒歩圏内に品揃えの良い八百屋さんや書店、有名なケーキ屋さんやラーメン屋さんなど、ハイレベルな個人店が軒を連ね、さらに少し足を延ばせば、大型スーパーやドラッグストアも充実。春には満開の桜が望める大きな公園まであるという、まさに至せり尽くせりな環境だったのです。 ただ、、もともと決して広くなかった空間は、8年もの期間で増えた夫婦の荷物で埋まっていき、「このあたりが限界かもしれない……」と、数年前からはっきり自覚するようになっていました。 そんな折、夫に異動辞令が下りたことを機に、本格的な物件探しを始めることになりました。サイトを日々閲覧したり、新着物件メールをくまなくチェックしながら、気になったお部屋はどんどん内見していく方式を取りました。
【2】大迷走する物件探しの旅
ここで、当初私たちが新居に求めていた、貴族(!)のような条件を発表します。 ☑築浅で外・内観ともに清潔感があること ☑夫の職場まで30分以内(譲歩しても35分以内……) ☑2階以上 ☑絶対南向き ☑ある程度の広さ ☑収納大! ☑物件周辺環境(治安が良い) ☑自宅から最寄り駅までの街並みが楽しく自然が多い ☑全室フローリング ☑幹線道路や線路から離れている(騒音に悩まない) ☑広めのリビング ☑信頼できるハウスメーカーが建設した物件 我ながら、分不相応なことを言っているのは重々承知。でも、人間ってどんどん贅沢になっていくんです。内見を繰り返すうち、最終的には部屋の壁や床の色、マンション名やフォントまで気になり始める始末。 当然のことながら、これだけの欲求を満たす物件はほぼ存在せず、近いものがあったとしても、家賃は大幅に予算オーバー。でも、このころには経済観念がだいぶ麻痺していたこともあって、家賃設定を無茶な金額に吊り上げつつ、私たちの部屋探しの旅路は進んでいくのでした。 そう。完全に、迷走しながら。