【陸上】日本選手権みどころ男子トラック編/混戦の100mは栁田大輝が初V狙う!ハードルはパリ五輪代表へ熾烈、400mに44秒台決着の予感
超ハイレベルなハードル2種目
熾烈なパリ五輪代表争いになるのがハードル2種目だ。 110mハードルは13秒04の日本記録保持者・泉谷駿介(住友電工)がパリ五輪代表に内定して出場を見送った。同じく日本記録を持つ村竹ラシッド(JAL)が優勝候補筆頭。今季は織田記念を13秒29で優勝すると、セイコーゴールデングランプリも13秒22の完勝だった。すでに参加標準記録(13秒27)を突破しており、初制覇を果たせば、初五輪代表が決まる。 こちらも参加標準記録を切っている野本周成(愛媛競技力本部)だが、冬の故障から回復途上。どこまで状態を上げられるか。 東京五輪代表の高山峻野(ゼンリン)はターゲットナンバーに入っており、布勢スプリント(B決勝)では13秒49まで上げてきた。2大会連続五輪なるか。注目は順大の阿部竜希。布勢スプリントでは参加標準に0.08秒と迫る13秒35をマークしている。ワールドランキングは厳しいが、参加標準記の“一発回答”はあり得る。町亮汰(佐藤食品新潟アルビレックスRC)、日本代表経験者の石川周平(富士通)と横地大雅(Team SSP)らも上位候補だ。 110mハードルでも13秒29のベストを持つ豊田兼(慶大)は、今大会の“目玉”の一人。400mハードルでパリ五輪参加標準記録(48秒70)を突破している。日本初、近年では世界でも類を見ないハードル2種目で五輪を狙う。 先に行われる400mハードルは優勝すれば父の祖国で行われる五輪の代表に内定。セイコーゴールデングランプリで日本歴代5位の48秒36をマークして優勝した。昨年は同じ舞台の新潟で当時の自己新を出しており相性も良い。日本3人目の47秒台も視野に入ってきた。後半2日間にある110mハードルは参加標準記録突破が必須。勝負をかけにいく。 400mハードルは黒川和樹(住友電工)と筒江海斗(スポーツテクノ和広)も参加標準記録を突破済み。黒川は2大会連続、筒江は初の五輪を狙う。ブダペスト世界選手権代表の児玉悠作(ノジマ)と出口晴翔(ゼンリン)もターゲットナンバー内を狙える位置にランクイン。前回優勝の小川大輝(東洋大)も参加標準記録を視界に捉えている。上記の選手により、パリ五輪代表枠3つの激しい争いが繰り広げられるだろう。 800mは若き力が躍動しそう。米国のペンシルベニア州立大に進学した石井優吉は、全米学生選手権・東部地区予選で日本歴代7位の1分46秒22をマークして“凱旋”。さらに、静岡国際でU20日本記録&高校記録となる1分46秒54を出して優勝した落合晃(滋賀学園高3)が初優勝を狙う。前回Vの第一人者・川元奨(スズキ)、同じく日本記録を持つ源裕貴(NTN)らがどんな走りをするか。 飯澤千翔(住友電工)の復活で盛り上がるのが1500m。ケガで戦線離脱していた飯澤が5月の木南記念で3分35秒77の日本歴代2位を叩き出した。館澤亨次(DeNA)や才記壮人(富士山の銘水)も絶好調だ。 5000mは遠藤日向(住友電工)が2年ぶりVと五輪代表を狙う。昨年10月に左中足骨を手術したが、セイコーゴールデングランプリでは13分20秒28で日本人トップ。日本選手権の結果次第で、ワールドランキングの順位を大きく上げてきそうだ。日本記録を持つ10000mで代表を逃した塩尻和也(富士通)との一騎打ちか。伊藤達彦(Honda)や森凪也(同)も有力だ。室内で13分09秒45を出していた佐藤圭汰(駒大)は故障のためエントリーしなかった。 3000m障害は日本記録保持者・三浦龍司(SUBARU)がパリ五輪代表に内定したため回避。青木涼真(Honda)が万全であれば初優勝は固い。ワールドランキングでも出場圏内につけており、2位以内に入れば五輪が近づく。自己ベスト連発の小原響(GMOインターネットグループ)ブダペスト世界選手権代表の砂田晟弥(プレス工業)もパリ五輪目指して記録と順位を求めるレースになりそう。 パリ行き、さらには来年の東京世界選手権を占う上でも重要な一戦。4日間、新潟での熱戦の模様はライブ配信されるほか、NHKでも放送される。 ◇パリ五輪代表内定条件 ・参加標準記録+優勝 ・各種目最大3人 ※後日選考の優先順位=ワールドランキングで出場権獲得+3位以内(※早期内定者のいる種目は上位2位) ◇テレビ中継 1日目/6月27日(木) NHK BS18:00~20:00 2日目:6月28日(金) NHK BS 18:30~19:30/NHK総合 19:30~20:42 3日目:6月29日(土) NHK総合16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル 4日目:6月30日(日) NHK総合16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル
月陸編集部