函館でタンカー座礁、引航できず 2日後に重油流出、沿岸で油の臭気
北海道函館市の津軽海峡・恵山岬沿岸で6日、タンカー・さんわ丸(3919トン)が座礁する事故があり、引航の準備をしていた同船から8日になって燃料の重油の流出が確認された。第1管区海上保安本部函館航空基地のヘリコプターからの目視では、流出の範囲は現場周辺の長さ約2.7キロ、幅約1キロにわたった。積み荷の軽油と灯油は流出していない模様だ。 【写真】海岸から約20メートルで座礁した「さんわ丸」。左舷にはオイルフェンスが張られていた=2025年1月8日、北海道函館市恵山町、野田一郎撮影 函館海上保安部によると、6日午後6時20分頃、現場付近を航行中の別のタンカーから「さんわ丸が陸に向かっており座礁するおそれがある」との通報が1管本部にあった。さんわ丸は海岸から約20メートルの岩場で船首を陸に向けた状態で座礁した。当時、海は荒れていなかったという。 同船は和光汽船有限会社(愛媛県今治市)が所有し、軽油と灯油計3800キロリットル(軽油約700キロリットル、灯油約3100キロリットル)を積み、苫小牧港から秋田県男鹿市の船川港へ向かっていた。乗組員11人にけがはなかった。7日にサルベージ船が引航作業を行ったが離礁できず、8日午前5時45分頃、さんわ丸から「燃料の重油が流出した」と連絡があった。同船は油の拡散防止のためのオイルフェンスを左舷に張った。右舷に約5度傾き、乗組員のうち引航作業に当たらない7人は巡視船おくしりのボートで救助された。 8日正午ごろ、現場前の海岸では油の臭いがして、岩や消波ブロックには油膜が付着していた。同船には燃料のA重油約59キロリットル、C重油約140キロリットルが搭載されおり、海保は船尾の燃料タンク付近が損傷して重油が漏れ出したとみて、座礁の原因を調べている。積み荷の軽油と灯油の流出は確認されていないという。 今後の引航作業は、船主とサルベージ会社が油の流出状況などを検討して決めるという。(野田一郎)
朝日新聞社