「100枚の名刺」より「1回の飲み会」を…1年364日会食する編集者が飲み会で本当に目指していること
■仕事の中身80%、飲み会20% 繰り返しますが、仕事の中身は、結果を出すための最低条件です。内容がともなっていなければ、いくら飲み会で奮闘しても望むような結果は得られません。 一方で、こんなことも言えます。 仕事の中身だけよくても、結果がついてくるとは限らない、と。 私のこれまでの経験から言えば、飲み会を含めた仕事の中身以外の部分が結果を左右します。結果の80%は仕事の中身で決まるけれど、20%は飲み会で決まるという感覚です。「たった2割」ですが、この2割が割合以上に結果を左右する重要な役割を占めます。 たとえば、あなたが企画のプレゼンを受けたとします。とても魅力的な内容で、ぜひ採用したいという気持ちに傾いています。もしプレゼンをした人が何度も仕事をしたことがあって気心が知れている人だったら、即決するかもしれません。 しかし、初めて仕事をする人だったらどうでしょう。 「企画の中身はいいけど、本当にこの人にお願いしてもよいのだろうか」「一緒に仕事を進めていく中で、もしかしたらどこかでボタンのかけ違いが起こったりしないだろうか」という思いが、ふとよぎるかもしれません。 80%の部分はよいけれど、果たしてそれを鵜呑みにしていいのか、グレーの部分が残るはずです。 その不安を払拭するのが「飲み会」を通じたコミュニケーションです。一緒に食事の席をともにすれば、相手の人柄や誠意などが垣間見えます。そこで、相手によい印象を持ってもらえれば、安心して仕事を任せてもらえる可能性が高まります。 飲み会は、グレーに曇っていた80%の仕事の中身を「透明感のある80%」にする大事なプロセスなのです。おいしい刺身もツマやワサビなどがないと引き立たないように、どんなに素晴らしい企画も、20%の飲み会がなければ輝かないのです。 ■「こいつ、なんかいいな」と思わせれば勝ち 勘違いしていただきたくないのは、飲み会は、その場で仕事を獲得するのが目的ではないということです。 私も、クライアントを接待するばかりではなく、メディアに商品を取り上げてもらいたいPR会社などから飲み会の席をセッティングされることがあります。 しかし、もし彼らから30分も1時間も仕事の話をされれば、正直うんざりします。「お酒の席くらい楽しく飲もうよ」という気分になるのが普通の感覚ではないでしょうか。 結果を出そうと必死になるのはわかりますが、「その場で」「すぐに」なんらかの成果を得ようとするのは逆効果です。お酒の席と昼間の商談の席は分けて考えるのが原則だと私は考えています。 飲み会をする目的のひとつは、自分のプレゼンス(存在感)を上げることです。飲み会をすれば、2~3時間ほど同じ空間をともに過ごすことになります。 それほどの時間をお互いがお酒の入った状態で過ごせば、相手の人柄がわかりますし、反対に自分の人となりも相手に伝わるものです。 それこそ「よく気が利く人だな」「話題が豊富で魅力的な人だな」ということもわかるわけです。反対に、「気遣いができない」「一緒に話していてもつまらない」というマイナスイメージを与えてしまう可能性もあります。 たとえば、同じ内容の企画書が2つ並んでいたとしたら、「こいつ、なんかいいな」「この人とは楽しく仕事ができそうだな」と思わせる人の企画書を選ぶのが人情ではないでしょうか。 場合によっては、企画の内容面で少し足りていない提案であっても、「この人と仕事をしてみたいから、やってみようか」という判断になるかもしれませんし、もし今回は企画が実現しなかったとしても、パイプができて、「次は彼に頼んでみようか」と思ってもらえる可能性もあります。 信頼を得て、相手にとってのプレゼンスを上げることが飲み会の目的のひとつです。