開成中学校の入試問題の特徴を科目ごとに徹底解明!【中学入試分析2024年】
開成中学校は、「開物成務・ペンは剣よりも強し・質実剛健・自由」に象徴される校風で、東大合格者数は全国一を誇ります。今回は、開成中学校の2024年度入試問題を教科ごとに分析していきます。 【ランキング】開成中学校の合格者が多い塾はどこ?
開成中学校について
毎年のように東大合格者数で全国トップを誇り、高校からの募集枠があるのも特色です。 2024年7月に新校舎の建設が完成し、冷暖房完備の大体育館や特別教室など、より快適で効率的な学習環境が整備されています。特に高度な観察力と思考力を養うために設置された理科実験室6室は、「本物」に触れるという体験を重視する最適な教育環境を実現しています。 さらに社会科や英語科などの教科に応じた特別教室で探究的な授業が行われるなど、生徒の主体的な学習を促す仕組みも手厚く、学習カリキュラムや教員の指導方法においても常にアップデートしているのが開成の強みです。 また、部活動や文化祭、学年旅行などの学校行事の運営は生徒自身の手によって行われ、自主自立、多様性を重んじる校風の中で友情を育みます。特に、毎年5月に開かれる「運動会」は中1から高3までが8つの色に分かれ、各学年で1つの競技を競い合います。競技に出場する選手だけでなく、審判や運営、放送などの裏方も生徒たちによって行われ、まさに全員に活躍の機会がある、開成の伝統と誇りを共有する重要な行事として親しまれています。(松井誠:TOMAS教務企画局 教務本部)
開成中学校の入試分析
国語の入試分析 傾向:読み取りは深く、説明は端的に 近年は、説明的文章と物語文の2題構成(2022年のみ物語文1題)。全問記述式で、1問あたり50~100字だが、課題に対して字数が少ない。読み取りは深く、そして的確な説明を求められるところに本校の難しさがある。物語文は長すぎず短すぎず。短時間で要旨をつかみ、正確な言葉を厳選して言い換える力が必要。 出題:問題同士の関連を利用しよう 本年の変化は2つ。説明文で、短い字数の抜き出しが出た。物語文は全問、心情を問う問題に。解き方やレベルは例年通りなので、冷静に対処したい。問題同士の関連に気づくとやり易い。大問2では、問1の答えが問3の理解につながり、問2の答えが問4のヒントになる。最初の方の問題を正確に解くことが大切。 対策:本質的な力を養う勉強を 本校の国語で求められるのは、厳選した言葉で、エピソードを要約し、心情を読み取る力である。まずは本文の重要な言葉に線を引き、要点をつかむ演習をしよう。それを元に、「どんな出来事?」「どんな意味?」「どんな気持ち?」の3つを最小限の言葉で説明しよう。同時に、言い換えに必要な語彙も身につける必要がある。小手先の技術だけでは、通用しない。本質的な力を養う勉強を積み重ねる事が、合格への道である。 読解問題 頻出テーマ ベスト3:1位 友人 2位 文化と学問 3位 自然と人間 算数の入試分析 傾向:最難関校にふさわしい本格派 本校は例年3~5題の大問から成り、解答用紙に式や考え方を書く形式となっている。頻出分野は図形・数の性質・速さ・場合の数・推理・論理で、良く練られた本格的な問題が並んでいる。空間や図形の認識力、数的処理能力、論理的思考力などが試される問題が頻出だが、中でも思考力重視の傾向が強く感じられる。 出題:適度な難易度で差がついた良問 本年は大問数が3題、問1が小問3問だった。大問1は素因数分解を利用したい数字パズル、2つの可能性を読み取る必要がある文章題、正三角形のまわりを正三角形が転がる問題。大問2は近年恒例となっている誘導が丁寧な場合の数。大問3は直方体を3つの面で切る問題という内容であった。 対策:普段から考える習慣を身につける 出題される分野の傾向はある程度決まっているが難易度のばらつきが大きい。本年の受験生の得点は学校側の狙い通りだったと思う。そうなると来年の予想は困難となる。難しくなっても、高得点勝負となっても対応できる柔軟性は身につけておきたい。そのためには基本を徹底し、出題者の意図を汲み取れる思考力を養い、自らの頭で考え、最適な処理が行えるように鍛えなければならない。メンタル、技術、他全て、隙の無いように仕上げたい。 算数 頻出テーマ ベスト3:1位 場合の数・条件整理 2位 立体図形 3位 速さ 社会の入試分析 傾向:正確な知識とスピーディーな判断 40分の試験時間で例年大問2~4問の構成だが、小問数が多く忙しい試験である。出題形式は、選択肢問題や用語を答えさせる問題などが大半だが、地図やグラフを読み解く問題も出題される。分野は歴史や地理に関する出題がやや多いが、公民も含めた各分野が大問の中で融合して問われることが多い。 出題:相変わらずボリュームのある問題 大問4問構成だが、小問数は相変わらず多い。例年通り知識問題が中心で、ご当地問題も何題か出題されている。WFPや物流2024年問題、鈴木貫太郎などテキストではあまり触れられていない知識についても問われていて注意を要する。大問2の各都道府県に関する問題が少々面倒で、時間をとられたのではないか。 対策:知識の充実と徹底した問題演習を 本校で問われる知識事項は基礎的なものが大半なので、まずテキストの内容を正確に理解したうえで、問題演習により苦手な部分や手薄な部分をなくしておきたい。地理の統計資料や年号などの数値も確実に押さえることが大切である。また、過去問や模試で出題されたやや発展的な知識事項や時事的な問題も自分なりにノートに別途まとめておくとよい。東京の地理や歴史に関するご当地問題は正解できて当然なので、対策は忘れない。 社会 頻出テーマ ベスト3:1位 近代・現代(明治~令和) 2位 中世・近世(鎌倉~江戸) 3位 日本の国土と自然 理科の入試分析 傾向:学校のレベルの割には易しい 身近な現象から「?」を導かせるリード文は秀逸。例年4分野からまんべんなく出題され、本年度も同様だった。グラフの読み書きは毎年定番だが、本年度は少なめ。グラフ作成の問題や作図はよく出題されるので注意が必要。近年は記号選択・語句・数値を答えさせる問題を主としており、本年度もこのパターンだった。 出題:例年通り4分野4題 大問1は化学から、水溶液の性質。酸とアルカリ、溶解度。大問2は地学から、スーパームーンの話題から暦の問題、月の位置の作図。大問3は生物から、昆虫に関する様々な問題。非常に易しい。大問4は物理から、電流回路。豆電球の明るさ、電流と発熱、がそれぞれ出題された。 対策:総合的な解答力を 表やグラフの読み書きが多いため、ある程度の基本学習が終わったら、表とグラフの問題を徹底的に行い、得点できるようにしていきたい。リード文を読み取れれば「知識」にこだわる必要はないが、あればあるほど有利。上位校を受験する中学受験生として必要な「知識」は備えておきたい(開成を受験するライバル達はこの程度のことは知っている、という意識で)。各種図鑑と高校生用の資料集があると理解の助けになる。 理科 頻出テーマ ベスト3:1位 地球・月・太陽・惑星 2位 昆虫 3位 水溶液の性質と溶け方 編集協力=福崎剛・フリーライター
リソー教育・TOMAS教務本部