ザル法「政治資金規正法」改正案の成立 そもそもなぜ、政治は金が掛かるのか?
「冠婚葬祭」で支持者獲得
なぜ政治に金が掛かる?1988年に発覚したリクルート事件がきっかけになり、現在の小選挙区制が導入された。それまでは中選挙区制といって、一つの選挙区から複数が当選する制度だった。このため自民党の派閥争いが過熱。派閥を大きくするためには、息のかかった議員を増やす必要がある。このため、多額のお金を費やす金権政治が常態化していた。そこで一つの選挙区から1人だけ当選する小選挙区制にすることで、金権政治を封じようとしたわけだ。 ところが小選挙区になると、選挙区内の支持者に対するきめ細かなサービスが求められるようになり、冠婚葬祭のあいさつに秘書が日夜飛び回る事態に。 国会議員の公設秘書3人の給与は国費から出るが、私設秘書の給与と事務所の経費は自腹。これだけで年に数千万円にのぼる。例えば、約20万世帯の選挙区で戦う議員なら、全戸に活動報告のチラシを配ると、印刷代とポスティング代で1回が約300万円。解散総選挙が近づくと、選挙区内の世論を調査し、情勢分析が必要になるが、これにも1回が数百万円規模の出費。選挙が近づけば、地方議員に活動資金を再配分する陣中見舞いも必要になる。 一方で収入はといえば、月給に当たる歳費が月129万4000円、ボーナスが年2回で合計638万円。旧文書交通費が月100万円、立法事務費が65万円。これに所属政党と派閥から政党交付金と政策活動費などが入るが、当選回数で金額が決められるのではなく、党の幹部のさじ加減一つだ。二階・元幹事長は5年間の在任中に50億円を受け取ってばらまいたが、渡し先は非公表。「党勢拡大のために使った」と言うのみだ。 企業・団体から政党に対する政治献金は90年代の改革で「5年後に見直す」と検討されたがうやむやになったまま。代替に位置付けされた税金からの政党助成金と二重取り状態にある。 ある自民党議員は「政治資金パーティーは貴重な収入源。派閥を含む党内上下関係には〝金とポストの再配分〟という見返りがあるから逃れられない」と割り切っているそうだ。 「政治団体」として届け出れば何でも非課税で、金の出し入れが出来るのが政界の常識。しかし、金を出す側の経済界は会社法に基づく収支の開示と株主に対する説明責任が求められ、政治家ほど勝手な金銭処理はできない。対策として政界では「EU内の独仏や韓国のように政党法を作ってはどうか?」という声がある。 現行では公職選挙法が適用されない党首選挙に現金が飛び交うのは当たり前、もとが税金の政党助成金の使い道すらはっきりしない。これが日本国を動かしている公党のやり方だ。 今どきのIT技術なら資金の出入りなんて、データベース化して公開し、検索閲覧できるようにすることなんて簡単。しかし自民党の動きは鈍い。 今回のような不祥事を起こした公党には、早急に第三者機関による「政党助成金減額」など有権者が目に見える形でのペナルティーが必要だ。私学や医療機関が不祥事を起こすと、国の省庁は平気で助成金や補助金をカットするのだから。