山梨学院、猛打で圧勝 24点奪い、25年ぶり白星 /山梨
<2019 第91回センバツ高校野球> 第91回選抜高校野球大会に出場している山梨学院は25日、札幌第一(北海道)との初戦に臨み、大会タイ記録となる1試合24安打を放って24点を奪い、圧勝した。一回、菅野秀斗選手(3年)が放った右越え本塁打が口火となり、打者一巡の猛攻で10点を挙げた。山梨学院のセンバツ白星は25年ぶり。次戦は大会第7日の第3試合(29日午後2時開始予定)で、筑陽学園(福岡)と福知山成美(京都)の勝者と対戦する。【金子昇太、池田一生、潟見雄大】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦第3試合 札幌第一 011010002=5 102032205×=24 山梨学院 山梨学院は一回裏、2番の菅野選手が打線に火を付けた。「何とか塁に出て、次につなげよう」と打席に立った菅野選手は、冷静に初球の直球を見送った。「(相手投手は)同じ球種を連続で投げてくる傾向がある。次も直球が来るはず」と予想。2球目を強振すると打球はライトスタンドに飛び込んだ。自身にとって公式戦初となる本塁打で先制した。 続く3番の野村健太選手(同)が中前安打で出塁すると、4番の相沢利俊選手(同)が甘めのスライダーを左中間に打ち返し、生還。1点を追加した。その後も打線がつながり、野村選手の本塁打も飛び出し、打者一巡の猛攻で序盤から突き放した。 選手たちの打線の勢いはスタンドにも届いた。吹奏楽部の坂井さつき部長(同)は「代替わりをして初めての甲子園。緊張もありましたが、選手たちのプレーを見て、力のこもった演奏ができた」と興奮気味に話した。 打線の勢いは二回裏以降も止まらなかった。今年、山梨学院を卒業する元野球部主将の清水雄登さん(18)は「一回に挙げた10点だけでなく、その後も追加点を挙げ続けていた。短期間でこれだけ成長するとは」と後輩たちの成長に驚いた様子で声援を送り続けた。 五回裏には四球で出た岸本捷汰選手(同)を高垣広大選手(同)が適時二塁打で還し、16点目。高垣選手は「本塁打を打った菅野選手をはじめ、みんな楽しくプレーしていたので、自分も楽しくプレーしようと思った」と振り返った。 八回裏には、先頭で打席に立った野村選手が直球を振り抜き、1試合2本目となる本塁打を放った。野村選手は「2本とも狙い球をしっかり打てた。練習で逆方向を意識して練習しているので、それがセンター方向への本塁打につながっていると思う」と振り返り、手応えを感じていた。野村選手が本塁打を放った後も5安打を集め、計5点を挙げて計24得点で札幌第一を突き放した。 相沢選手は「チーム全体のバッティングが出来過ぎだった。次の試合も謙虚な気持ちで臨みたい」と総括した。 ◇愛知から後輩部員 ○…一塁側アルプスには、野村健太選手(3年)の地元・愛知県から「愛知衣浦シニア」の後輩部員35人が駆けつけた。 野村選手は中学3年時に、同チームで全国優勝しており、後輩たちにとって憧れの存在だ。本塁打2本の大活躍に、部員たちは肩を組んだり、拍手をしたりして、先輩に声援を送り続けた。 主将の佐々木琳人(りんと)さん(14)は「広い甲子園でホームランを打つなんて、すご過ぎる」と目を輝かせていた。 ◇応援引っ張りたい ○…山梨学院の応援席では、えんじの袴(はかま)を着た応援団長の平山夏生さん(3年)が副団長の井上小粋さん(同)と共に声をからした。 秋の関東大会から2人が中心となって応援をリードしている。試合を重ねる度に緊張もなくなってきているというが「先輩たちに比べればまだまだ」と平山さん。2人そろって一緒に練習できないこともあったが、自宅で自主練習を重ねて、センバツの大舞台に備えた。 平山さんは「選手は楽しそうにプレーしている。自分たちも楽しく応援を引っ張りたい」と笑顔を見せた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■球音 ◇初回守り抜き、平常心に 相沢利俊主将 山梨学院(3年) 試合前夜、吉田洸二監督からセンバツ初戦の先発を言い渡された。「冷静に」とメンバーを集めて呼び掛けたが、当の自分が緊張していることを自覚していた。 札幌第一戦。一回表、先頭打者を四球で歩かせた。秋の関東大会でも大事な場面で四球を出し、強豪に競り負けている。「駄目になるパターンだ」との思いも頭をよぎったが、菅野秀斗二塁手から「落ち着いて」と声を掛けられ、我に返った。 全国レベルの強豪と渡り合うため、チームは守備に磨きを掛けてきた。投手と野手が一丸となって守り、攻撃につなげる--。そのことを思い出した。 「打たせて取る」。続く打者に投じた3球目。打球が真正面に飛んできた。捕球し、すぐさま反転して二塁へ。併殺でピンチを断ち切った。「あれで楽になった」。初回を守り抜くと、その裏、味方打線が爆発。勝敗は決した。「浮かれることなく、次に向かう」。平常心を取り戻した主将が快進撃を誓った。【金子昇太】