5000万円以上かかる大手ハウスメーカーの注文住宅を選ぶメリットは? 信頼性や長期優良住宅の認定を受けやすいなどが魅力か
大手ハウスメーカーの信頼性を重視して建築を依頼した人が多い
そこまでの費用をかけて大手ハウスメーカーにこだわる理由があるのだろうか。国土交通省の調査によると、住宅を取得した人たちが住宅を選んだ理由には、新築住宅でも注文住宅、建て売り住宅、分譲マンションの間で大きな違いがあることがわかる。 図表3に示されているように、注文住宅を選んだ人の選択理由のトップは「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」(52.2%)で、次いで「新築住宅だから」(46.0%)、「一戸建/マンションだから」(44.0%)と続いている。大手ハウスメーカー特有の信頼性の高さが重視されているのは明らかだ。 図表3 注文住宅を建てた人の住宅の選択理由 これが建て売り住宅になると、トップは「新築住宅だから」で、2位が「一戸建/マンションだから」となり、「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」は8位にとどまる。 分譲マンションの場合も同様で、「新築住宅だから」がトップに立ち、「住宅の立地環境が良かったから」「交通の利便性が良かったから」が続き、「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」は7位にとどまっている。
大手ハウスメーカーは長期優良住宅などの認定を受けやすい
予算が高くなっても、大手ハウスメーカーで注文住宅を建てる人が多いのには理由がある。 9割近くが長期優良住宅・低炭素住宅の認定 大手ハウスメーカーが加盟する住宅生産団体連合会の「2023年度 戸建注文住宅の顧客実態調査」では、大手ハウスメーカーで建てた住宅の85.7%が長期優良住宅や低炭素住宅として認定されている。低炭素住宅の割合はまだ少なく、長期優良住宅が多いと考えられている。 長期優良住宅とは、長期間にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優れた住宅であり、「100年住宅」や「200年住宅」とも呼ばれる。 このため、予算が高くても長期的なメリットがあるとされる。例えば、中小工務店で2000万円の注文住宅を建て、良好な状態が50年続くと仮定すれば、1年当たりのコストは40万円となる。 一方で、大手ハウスメーカーで5000万円の住宅を建て、100年使えるとすれば、1年当たりのコストは50万円、200年使えれば25万円にまで抑えられる。初期費用が高くても、長期的にはむしろ経済的になるというわけだ。 国土交通省の調査によると、2023年度に着工された戸建て住宅のうち、長期優良住宅の認定を受けた住宅は31.3%にとどまっていることから、中小工務店では認定を取得できないケースが少なくないことを示している。 それに対し、大手ハウスメーカーの注文住宅では認定を受けやすく、これは大手ならではの大きなメリットといえるだろう。 住宅性能表示制度の採用率は7割以上 同じく、住宅生産団体連合会の調査によると、住宅性能表示制度の採用率も大手ハウスメーカーでは75.1%に達している。 また、住宅性能評価・表示協会のデータによれば、2023年度の新設住宅着工戸数のうち、性能表示を行っている戸建て住宅の割合は24.9%であるため、大手ハウスメーカーの採用率が極めて高いことが分かる。 住宅性能表示制度とは、耐震性、耐久性、断熱性など、住宅の性能を全国一律の基準で設定し、建築の専門家が個別の住宅について評価・表示する仕組みである。これにより、建築の知識が乏しい一般消費者でも住宅の質を比較検討し、判断することが可能となる。 大手ハウスメーカーの注文住宅の多くは、この住宅性能表示制度を採用しており、住団連のデータによると、多くの項目で最高等級を取得している。 たとえば、耐震対策、劣化対策、維持管理対策については、等級が3段階に分かれているが、住宅性能表示制度を採用している注文住宅では、最高等級の等級3を取得している物件が8割から9割を占めている。 そのため、安心して居住できるだけでなく、劣化しにくく維持管理もしやすい。これにより、将来的な資産価値も維持されやすいのが特徴であり、大手ハウスメーカーの注文住宅ならではの強みといえる。 つまり、高額ではあるものの、それ相応の理由があり、多少無理をしてでも大手ハウスメーカーで建てることには十分なメリットがある。