貧乏ゆすり、髪を触る…無意識でやってしまう「癖」を直す方法はある? 茂木健一郎が脳科学の視点で解説
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。 今回の配信では「無意識の癖」に関する質問に答えました。
<リスナーからの相談>
喋っているときに顔や髪、耳、手首を触ることや、足を揺らす「貧乏ゆすり」など、無意識でやっている癖を直すにはどうしたらよいでしょうか? また、こういうときは脳のなかで何が起きていますか?
<茂木の回答>
このような癖は、まさに無意識のうちにおこなわれているので、直しようがないのですよ。僕も実は、貧乏ゆすりをすることがあります。改まった席や気を遣わないといけないとき、なるべくそういった癖は出さないほうがいいとは思うのですが、必ずしも直す必要はないと思うのです。 ただ、1つヒントになることはあります。動物行動学的には繰り返し行動、たとえば顔や耳を触ったり貧乏ゆすりをしたりするのはどういうときに起きるのかと言いますと、「閉じ込められているとき」なのです。 たとえば、動物園の白クマが(檻のなかを)往復しているような場面で出ていると言われています。ですから科学上、1つの仮説として「人間は自分自身を家畜(ペット)として飼っている」という説があります。 我々は野生動物と違って、ビルや建物のなかにいたり、あるいは椅子に座るといった、閉じ込められているというよりも、行動を制限されていることがあります。そういうときに繰り返し行動が出やすいとわかっています。 なので、もしかすると相談者さんは、もう少しワイルドに行動したいのかもしれません。 ランニングなどをしてエネルギーを解放していくと、比較的そういうこともなくなります。スポーツでもいいですし、ウォーキングでもいいです。エネルギーを解放すると繰り返し行動が減るのではないかと、動物行動学的には予想されます。 あと、顔や耳を触るといった行為を、こちらはセルフタッチと呼ぶのですが、自分自身が安心したり、「心の安全基地」を得るという意味においても効果があると期待されています。そういう意味において、貧乏ゆすりや自分自身の顔とか耳を触るような行為は、行きすぎなければ健康にいいという側面もあるということなのです。 ですので、あまり気になさらず、ときどきは自分のエネルギーを解放してあげてください。ぜひ、自分らしく生きていってくださいね。自分の個性を大切に生きていきましょう。 (「茂木健一郎のポジティブ脳教室」配信より)