天皇陛下は「公務で疲れたら、漫画でリラックス」 「妃殿下方はお化け好き」と園遊会で明かされた、漫画好きな皇族方の姿
いまや世界中で評価されている日本の漫画やアニメ。園遊会でもこれまでに数々の著名な漫画家が招待されてきた。天皇陛下も「みんな(漫画を)読んでいますよ」と明かすなど、皇室でも漫画やアニメといったポップカルチャーの人気は高い。 【写真】なんと! 天皇陛下は漫画「テルマエ・ロマエ」を教材に大学で学生に講義をしたことも * * * 「皇室の方も漫画を読まれるのですか」 2013年10月にあった秋の園遊会。招待された漫画家のちばてつやさんが、当時皇太子だった天皇陛下にたずねると、陛下はこう答えたという。 「結構みんな、読んでいますよ」 「公務で疲れたときに読むと、リラックスできる」 陛下は、ちばさんの代表作である「あしたのジョー」も読んだことがあり、 「日本の漫画やアニメーションが世界中で認められて、すごくいい文化に育ててくださいましたね」 と伝えたという。 陛下から、ちばさんに、 「医学だとか歴史だとかを漫画が表現してくれるので、勉強になります」 と伝えた言葉には、実感がこもっている。 水の研究者でもある陛下は、古代ローマの風呂設計技師が日本にタイムスリップする漫画「テルマエ・ロマエ」も読んでいた。陛下の研究について相談役を務めていた元建設省河川局長の尾田栄章さん(83)は、こう話す。 「水が貴重な時代に、水を潤沢に使うローマ時代の設備に関心を抱かれたようです。皇太子時代に学習院女子大学で学生に講義をした際にも、『テルマエ・ロマエ』の漫画や、女性アーティストの『トイレの神様』の歌詞にからめて話をされたとうかがっております」
■「ドカベン」の色紙に喜んだ皇族は? 漫画に親しんできたのは、秋篠宮家でも同様のようだ。 2015年11月の秋の園遊会では、「ドカベン」「あぶさん」といった野球漫画で知られた水島新司さん(22年に死去)と秋篠宮さまのあいだで、話が盛り上がったようだ。 実は秋篠宮さまが高校生のときに、水島さんからドカベンのキャラクター「殿馬」が描かれた色紙をもらったことがあったという。水島さんは、園遊会に出席していた長女の小室眞子さんからも、「父が色紙をいただいて非常に喜んでいる」と伝えられたという。 次女の佳子さまは16年、鳥取県にある人気漫画「名探偵コナン」の作者を紹介する「青山剛昌ふるさと館」を訪問。「コナン」を読んだことがあるかたずねられた佳子さまは、 「はい、あります」 とにっこり。同じ青山さんの作品「まじっく快斗」も読んでいると明かした。 ■「天皇家はお化け好き」と水木しげるさん 「天皇家はお化け好きですよ。根っからのお化け好き。近づいたときに感じます」 そう答えたのは、漫画家・妖怪研究者として知られた水木しげるさん(15年に死去)。 水木さんは11年秋の園遊会に、妻の武良布枝さんとともに園遊会に出席。上皇さまや陛下とも、妖怪について話が盛り上がった。 水木さんは、都市では深夜でも明るく、人びとの生活から暗闇が消えたことについて、「電気が妖怪を消した」と講演などで話していた。陛下は、この水木さんの言葉をご存じだったという。 妻の布枝さんも、 「妃殿下方はみなさん、(お化けに)関心がおありのようでした」 と取材に応えている。
皇室で最も漫画やアニメといったカルチャーに詳しいのは、日本美術の研究者でもある三笠宮家の彬子さまだと言われている。 彬子さまは、講演会などでアニメなどのサブカルチャーについて言及することも珍しくなく、人気漫画「鬼滅の刃」について触れたエッセイも書かれている。そして、中国の春秋戦国時代を舞台にした漫画「キングダム」の筋金入りのファンであることが特に知られている。 (AERA dot.編集部・永井貴子)
永井貴子