古い棚を処分しようとしたら、亡くなった母の通帳を発見!「80万円」ほど入っていましたが、勝手に相続していいですか?
実家にある古い棚を処分しようとしたら、亡き親の遺品が出てくる、といったことはよくある話です。ではその遺品が、80万円の現金が入った口座の通帳であったらどうでしょうか。 既に遺産分割が終わっている場合、見つけた人のものとして勝手に相続してもいいのでしょうか。考えていきます。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
新たに見つかった遺産を、勝手に相続したことにしてはいけない
亡くなった親の遺産が新たに見つかった場合、それは原則として遺産分割の対象となります。それも当然で、基本的に親の残した遺産は、遺言書で特に指示のない限り、相続人間の遺産分割で、誰がどのように相続するかを全て決めるからです。 遺産分割後に新たな相続財産が見つかった場合も同様で、新たに見つかった財産について相続人で再度話し合い、どのように遺産分割をするのか話し合う必要があります。 万が一、勝手に「自分が相続したもの」としてその相続財産を消費してしまうと、共有物を勝手に処分したとして他の相続人から損害賠償請求をされたり、不当な利益を得たとして不当利得返還請求などをされたりする可能性があります。 なお、新たに遺産が見つかっても、基本的に既に成立した遺産分割に影響はありません。例えば今回のように、見つかったものが80万円の通帳で、その80万円の存在が最初から明らかではなかった場合でも「遺産分割の内容が変わっていた」などよほどの事情がなければ、既に成立した遺産分割に影響はありません。 また、以前の相続人の中に亡くなっている方がいる場合は、その亡くなった方の相続人と、以前の遺産分割をやり直す必要も出てくる可能性があります。もし「以前の相続人の中に亡くなっている方がいて、遺産分割ができない」という場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。
新たな財産が見つかった際の帰属先が決まっている場合は別
1つ注意点として挙げられるのは、新たな遺産が見つかった際、その帰属先が既に遺産分割で決められていた場合、その遺産は定められたとおりに遺産分割されるということです。 例えば、「時価総額100万円以下の財産が見つかった場合、全て長男Aが相続する」といった取り決めがあれば、それは遺産分割の対象とはならず、直接長男が相続したことになります。 いずれにせよ、新たに相続財産が見つかった際は、見つけた人が勝手に相続したことにしてはいけない、ということです。