旗手怜央が日本代表で刺激を受けたふたりのボランチ 遠藤航と守田英正の「異なる特徴と個性」とは?
【自分が持っている力を示せたが......】 第3節のインドネシア戦は、イラク戦以上にボールを持てる時間が増えることが想定された。そのため、自分が先発する可能性は高いのではないかと考えていた。だから、現実になった時には、「やってやる」という思いしかなかった。 インサイドハーフとして意識したのは、動きの質だった。 ボールを持てる時間が長くなると、パスをつなげることでチーム全体が走らなくなる傾向があると感じていた。必然的にボールも回らなくなり、悪循環を引き起こす。それは日本代表だけでなく、川崎フロンターレでも、セルティックでも、自分がここまでサッカーを続けてきて感じていたことでもある。 だから、無駄走りになったとしても、誰かがスペースを使うために走る。自分がボールをもらえずとも、誰かがボールを受けられるために動く。その意識が必要だと考えた。 ほかには自分が相手をひとりはがして優位に立つことや、中央にいるだけでなくサイドにも顔を出すことなど、万遍なく、かつ幅広く、動きの質を意識した。 自分がシンプルなプレーができている時は、それだけ周りが見えている証拠でもある。逆にボールを持つ時間が長かったり、余計なプレーを挟んでしまっている時は、周りが見えていない場合だったりする。だから、インドネシア戦で、僕がシンプルにプレーしているように見えていたとすれば、それは周りが見えていたことになるだろう。 自分が意図的にシンプルなプレーを選択していたのではなく、そうすることで自分が日本代表で生き残っていけるし、さらに前でプレーする選手たちの力も生きると思っていた。 ゴールやアシストという結果は残せなかったものの、周りを生かす動きをしながら決定的な場面にも顔を出せていたため、インドネシア戦は自分が持っている力を日本代表で示せた実感があった。 ラウンド16のバーレーン戦は、そうした評価が再び先発出場につながったと思っていた。それだけに35分でのアクシデントに、自分自身を強く責めた。 連載第23回「途中離脱の申し訳なさと悔しさ」へつづく>>
text by Harada Daisuke