映画史上もっとも“スカッとする”結末は? 最高のラスト(5)看守vs囚人のガチバトル…高揚感がスゴい傑作
日常のモヤモヤを吹き飛ばす。それも映画ならではの効能の1つだろう。 今回は、巧みなストーリー構成と大胆な演出で、観終わった後にスカッと気持ち良くなる海外映画を5本セレクトし、物語の内容から作品の魅力に至るまでたっぷりと紹介。映画史に残る名作をラインナップした。第5回。※この記事では物語の結末に触れています。(文・阿部早苗)
『ロンゲストヤード』(1974)
上映時間:122分 原案:アルバート・S・ラディ 監督:ロバート・アルドリッチ 脚本:トレイシー・キーナン・ウィン 出演:バート・レイノルズ、エディ・アルバート 【作品内容】 元プロフットボール選手のポールは、警察とのカーチェイスの末に禁固3年の判決を受け刑務所入りする。所長ルドルフは看守率いるアマチュアのフットボールチームを結成していた…。 【注目ポイント】 70年代、低迷しつつあった巨匠ロバート・アルドリッチ監督が起死回生となる大ヒットを飛ばした異色のスポ根コメディ映画である。第32回ゴールデングローブ賞では作品賞を受賞。2005年にはスポーツ選手が多数出演したリメイク版も公開された。 かつて八百長疑惑でアメフト界を追われたポール・クルー(バート・レイノルズ)は、その後、職にも就かずに恋人メリッサに依存した生活を送っていた。ある日、彼女に対する不満から、ポールは彼女の愛車を盗み暴走。警察に御用となり刑務所送りとなる。 刑務所の看守のメンバーによって構成されるアメフトチームを率いる所長はポールに看守チームのコーチを依頼するも、看守長はそれを許さなかった。結局ポールは、看守チームの練習相手として結成された囚人チームのコーチを任されることに。 囚人によるフットボールチームが結成されたはいいものの、看守らの嫌がらせや理不尽な暴力が横行し、囚人たちの中には怪我をする者や死亡者も。その後、所長の思惑で看守チームvs囚人チームの試合が行われることが決定し、スタジアムには大勢の観客が集まる。 看守チームは囚人に負けられないプライドがある。一方の囚人たちは日頃から看守たちから嫌がらせを受けており、彼らへの復讐に燃えている。試合中も看守チームから過度な暴力を受けつつも、僅差で試合が進んでいく。 この状況に焦りを感じた所長は、囚人チームが進んで負けるようにポールに圧力をかける。所長に脅され、求めに応じるしかないポールはミスを連発し、看守チームと囚人チームの得点差は広がっていく。しかし、ポールは心変わりを起こし、徐々に得点差は埋まっていく。果たして結果はいかに…。 フットボール素人の囚人たちの思わぬ活躍によって、最終的に囚人チームが看守チームに逆転勝ちするクライマックスがもたらす高揚感は並大抵のものではない。 権力に屈せず自分を貫くポールの男気ある姿勢に、誰もが引き込まれるに違いない。スポーツ映画史上に燦然と輝く素晴らしいエンディングである。 (文・阿部早苗)
阿部早苗