しずちゃんも登場、アートの力で復興願う…鳥取県中部地震から8年
鳥取県倉吉市や北栄町などで震度6弱を記録した2016年の鳥取県中部地震から21日で8年になるのを前に、地震からの復興を願う「 福高ふっこう 祭」が20日、倉吉市明治町の打吹回廊周辺で開かれた。 【写真】県河川課に勤務する浜本さん（右、鳥取県庁で）
県中部地震では県内で25人が重軽傷を負い、住宅330棟が全半壊するなどの被害を受けた。福高祭は、来年3月の県立美術館の開館に合わせ、「アート」をテーマに企画された。 画家としても活躍するお笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんが出演し、コロナ禍で外出が制限された時期に手がけた作品「みんなで地球」を紹介。平井知事との掛け合いもあり、知事が美術館での絵の指導や制作を求めると、しずちゃんは「ぜひ行きたい」と答えた。 鳥取市や湯梨浜町のアート作家による実演や、参加者が路上にチョークで落書きをするイベントもあった。参加者は、復興と地域のにぎわいを祈念し、風船約300個を大空へ放った。 実行委員長の小林健治さん（81）は「力を合わせて復興に取り組み、街が少しずつ元気になってきた。美術館の開館を機にさらに活性化させたい」と話していた。
防災対策、危機感が大事
北栄町の浜本祐輔さん（22）は県中部地震を経験したことがきっかけで大学で災害の仕組みについて学び、今春、県庁に入庁した。河川課に配属され、災害への危機感を持つことの大切さを日々感じているという。 「大切な地元を守るための防災対策を講じたい。誇りと使命感を持ち、全力で取り組みます」 4月の辞令交付式で抱負を述べた浜本さん。8年前は中学3年で、文化祭のため学校の体育館にいた。「立っているのがつらく、『早く揺れが収まれ』と思うだけで何もできなかった」と当時を振り返る。 神戸学院大現代社会学部に進学し、災害のメカニズムなどを学んだ。「地元で行政の立場から、被害を減らすための力になりたい」と考え、県庁に入庁した。 現在、県河川課で河川工事の契約管理を担当する。8月下旬の台風10号では、被害拡大を防ぐための対策を練り、「改めて備えることの大切さ」を実感した。「災害は起こらないだろうと何も行動しなければ、後悔する。まずは危機感を持つことが大事」と話す。 防災の業務にも関心がある。地震や津波、豪雨の被害はもとより、「災害関連死」なども出さないよう、行政の立場でできることは何か、災害から県民の命を守る思いを強めている。
