韓国大統領弾劾案、14日に採決 与党に慎重論、調整難航
【ソウル山口卓】韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」を巡り、野党6党が国会(定数300)に再提出した尹氏の弾劾訴追案は14日午後4時(日本時間同)からの本会議で採決される見通しだ。与党「国民の力」は13日、弾劾反対とした当初の党方針を維持するかどうか議論を続けた。韓東勲(ハンドンフン)代表は賛成に転じるよう提案しているが、尹氏に近い議員を中心に慎重な声も根強く、調整は難航している。 【写真】尹錫悦大統領の談話を報じるテレビ 可決には200人以上の賛成が必要だが、7日にあった1度目の同案採決では、与党議員のほぼ全員が投票を棄権し、廃案となった。 韓国メディアによると、野党議員1人が有罪確定を受け12日に失職したが、後任の補充手続きが完了したため、賛成が確実な野党と無所属の議員数は計192人を維持。与党から8人が造反すれば可決される状況にあり、13日時点で与党から7人が賛成する意向を示している。 韓氏は12日の党議員総会で、尹氏に早期退陣の意思がないことが確認されたなどとして「党として賛成すべきだ」と述べた。尹氏に近い議員らがこれに反発。「演壇から降りろ」と怒号が飛び交う場面もあった。 与党は12日、新院内代表に尹氏に近い権性東(クォンソンドン)議員を選出。権氏は「弾劾反対が党方針だ」と主張した上で「方針変更には、党所属議員の3分の2以上の同意が必要だ」と語り、党内議論を続ける考えを示した。14日午前にも議員総会を開き、最終決定する見込みだ。 最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表は13日、与党議員に賛成するよう呼びかけ「弾劾だけが混乱を終わらせる最も早くて確実な方法だ」と述べた。 世論調査会社「韓国ギャラップ」が13日発表した調査結果によると、尹氏の支持率は11%で就任後最低を更新。不支持率は85%だった。弾劾への賛成は75%、反対は21%だった。
西日本新聞