世界初「パズル学」で京大博士号を取得 東田大志さんを駆り立てる「情熱」
全国でビラを配り、パズルの伝道師に
東田さんは、京都大学で「パズル同好会」を自ら創設するだけに飽きたらず、2007年からパズルを全国で広める活動を始めた。「ビラがパズルの人」というニックネームを自ら名乗り、全国47都道府県で、自作のパズルのビラを街頭で配る活動を始めたのだ。タスキを着け、「ビラがパズルになってまーす」と道行く人に声をかけ続け、すでに全都道府県での配布を達成し、2周目に入っているという。配ったビラは、8万枚。一体、パズルのビラ配りの何が面白いのか。 「ビラ配りは、一種の『パフォーマンスアート』だと思うんですよ。パズルの作り手が意図しない反応がくる。ヒントを下さいとか、何でこんなことをやっているのかとか。そこで出会った人とご飯に行くこともあるし、差し入れをもらうこともある。そういった『予期せぬ反応』や『出会い』があるから、活動をやめられずにいる」と東田さんは笑う。
「現代のパズルは、禅問答のよう」
全国で「パズルの伝道師」として、パズルのビラを配布する活動を続けるうちに、出版社の目に止まり、東田さんは、すでにパズルに関する本を15冊出版した。ニンテンドーDSのゲームも作った。東田さんのパズルの活動は、国内にとどまらず、2009年には、アフリカのモザンビークで「パズル」に関する授業を現地の小学生に対して行った。 そんな東田さんがいま研究に取り組んでいるのは、「禅とパズルの関係」だ。「禅問答のやりとりは、答えが無数にある『現代のパズル』とそっくりだ」とパズルのさらなる可能性を追究している。 東田さんは、自分がパズル研究に没頭する理由をこう説明する。「自分がなぜパズルをやっているのか知りたかった。社会の中になぜパズルが存在するのか。なぜ自分がパズルにこんなにハマっているのかを解明したかった」 現代の「パズルの伝道師」の挑戦は続く。 (中野宏一/THE EAST TIMES)