父は元Jリーガー 「1番になれ」天理・内藤が受け継いだDNA 選抜高校野球
強打者の父は元Jリーガー--。兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催中の第93回選抜高校野球大会で20日の第2日第1試合に3番・三塁手で登場した天理(奈良)の内藤大翔内野手(2年)は、サッカー・J1鹿島などで活躍した名DF就行さん(53)=現J3宮崎監督=を父に持つ。2020年秋の公式戦で1年生ながら中軸を担ったスラッガーの持ち味の長打力は、トップアスリートの父から受け継いだDNAのなせる業だ。 【天理-宮崎商 天理が先制】 「蹴る力は、小学生の頃からすごかったと周囲から言われる。お父さん譲りだと思います。下半身の強さが長打力につながっているのかな」。父と自分を比べ、照れくさそうにする内藤。内野ならどこでも守るマルチな才能もまた、父に似たのかもしれない。 父の就行さんはJ1鹿島やFC東京、福岡などで活躍。主にDFとしてプレーし、J1通算196試合出場の経歴を持つ。特に、鹿島に所属した1996年は主力としてリーグ優勝に貢献。元々はFWだったが、サイドバックやボランチ、攻撃的MFとユーティリティープレーヤーとして重宝された。現役引退後は指導者として活躍し、今季からはJ3宮崎を指揮している。 Jリーガーの長男として生まれた内藤は、もともと幼少期からサッカーに親しんでいた。ただ、夢中になったのは小学1年で出合ったソフトボールの方だった。「今でも『なぜサッカーじゃないの』と聞かれるが、ソフトボールを選んだのは、単純に楽しかったから」と笑う。 週末はソフトボールのクラブ活動と重なるため、次第にサッカーの練習から遠ざかった。息子の選択をすぐには認めてくれなかった父だが、シーズン中は離れて暮らす時間も長く、キャッチボールをした記憶もない。小学6年生になり、最後の試合に足を運んでくれた。「それからは、たまに試合を見に来てくれるようになった」とうれしそうに振り返る。 中学で硬式野球を始めた内藤は、卒業後は憧れだった名門・天理に進んだ。昨秋は主に5番・一塁手としてプレーし、2割9分4厘をマーク。秋の近畿大会後に腰を疲労骨折し、冬場は十分な練習を積めなかったものの、背番号「13」を託され、センバツ初戦でスタメン入りしたのは期待の表れだ。 複数のポジションをこなし、サッカー選手として偉大なキャリアを持つ父。内藤は「お父さんは才能ではなく、努力の選手だったと聞いている。人一倍努力するし、何に対しても真面目。同じスポーツをやっている者として尊敬しているし、自分もそうありたい」と力を込める。 「自分の選んだ道で1番になれ」 甲子園での活躍を誰よりも願ってくれている、父から送られた言葉だ。 「お父さんは鹿島で日本一になり、サッカーの道で成功した。自分は野球の道で成功したい。将来は社会人野球やプロ野球でも活躍したい」 センバツは、憧れの父に近づく第一歩だ。【長宗拓弥】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。