ウクライナと露、しぼんだ停戦機運 一時は和平合意近いとの見方も
ロシアによるウクライナへの全面侵攻は、開始から2年4カ月近くが経過した。戦火は収まる気配が見えず、犠牲は増え続けている。ウクライナ側の提唱で15~16日に初の首脳級会合「世界平和サミット」がスイスで開かれたが、国際社会の分断は解消されず、和平実現の難しさが改めて露呈した。 【写真】ウクライナ侵攻以降、ロシア人の主な移住先 2022年2月に侵攻を開始したロシア軍は、北、東、南の3方向からウクライナへ攻め込み、一時は首都キーウ(キエフ)の近くまで迫った。 開戦数日後から、ベラルーシやトルコを舞台として、双方の停戦協議が断続的に続いた。ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟断念などを条件に、同3月末には和平合意が近いとの見方もあった。だが、4月上旬に露軍撤退後のキーウ近郊ブチャで多数の市民の遺体が発見されたことなどを受け、停戦の機運は急速にしぼんだ。 露軍は22年9月、東部ハリコフ州からも大きく後退した。ただ、同月末にロシアは広域を占領した東部のドネツク、ルガンスク、南部のザポロジエ、ヘルソンの計4州を「自国領に編入する」と一方的に宣言。戦闘の前線は東・南部が中心となった。 露軍は24年5月にはハリコフ州へ再び攻め込んで新たな戦線を開いたほか、ドネツク州などでも戦闘が続く。【ベルリン五十嵐朋子】