【米国株ウォッチ】Q3決算発表を終えたジョンソン・エンド・ジョンソン、今後の見通しは?
先日、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ティッカーシンボル:JNJ)は第3四半期(Q3)決算を発表した。決算発表で報告された収益は225億ドル(約3兆3717億円)、調整後のEPS(1株あたりの純利益)は2.42ドルだった一方、私たちの予想はそれぞれ222億ドル(約3兆3268億円)、2.20ドルだった。 本稿では、ジョンソン・エンド・ジョンソンの株価パフォーマンス、直近決算の主な要点、バリュエーションについて解説する。 ■Q3決算は予想を上回る ジョンソン・エンド・ジョンソンのQ3決算で報告された収益は、前年同期比5.2%増の225億ドル(約3兆3717億円)だった。事業セグメント別では、医薬品事業が4.9%増、医療機器事業が5.8%増となった。医薬品事業の収益の伸びは、ダラザレックス、アーリーダスプラバート、トレムフィアなどの医薬品の継続的なシェア拡大が牽引した。一方で、同社の稼ぎ頭の1つであるステラーラ単体の収益は、前年同期比6.6%減の27億ドル(約4046億円)となった。ステラーラは、バイオシミラーとの競合にさらされており、今後数年間は大幅な売上高の減少が予想される。医療機器事業の収益増は、エレクトロフィジオロジー関連製品や心血管関連製品が牽引した。 調整後の純利益率は、前年同期の31.7%に対しQ3では26.1%となった。これは、一時的な特別費用やIPR&D(インプロセスR&D)の取得にかかる費用計上が一因である。利益率の低下により、同社のEPSは前年同期比9%減の2.42ドルとなったが、それでも私たちの予想や市場のコンセンサス予想を大きく上回る結果となった。 今回の決算発表により、ジョンソン・エンド・ジョンソンは年間収益の見通しをこれまでの882億ドル(約13兆2206億円)から上方修正し、予想の中間値を886億ドル(約13兆2814億円)に引き上げた。一方で、EPSの見通しは、主にV-Waveの買収に関連する費用などにより、従来の10.05ドルから9.91ドルへと下方修正した。 ■今後の目標株価 ジョンソン・エンド・ジョンソンの株価は年初来7%の上昇となっており、同期間で23%上昇したS&P500種株価指数のパフォーマンスを下回っている。 Q3決算は良い内容だったが、利益の見通しが若干引き下げられたこともあり、決算発表後の株価は伸び悩んでいる。こうした背景を踏まえ、私たちはジョンソン・エンド・ジョンソン株の目標株価を、米国時間10月17日現在の株価(約164ドル)から約5%高い172ドルとしている。この目標株価は、PER倍率を17倍、2024年通期の予想EPSを9.95ドルとして算出した。このPER17倍という数字は、ジョンソン・エンド・ジョンソン株の過去5年間における平均値を採用したものだ。
Trefis Team