【昭和の隠れ名車】ソアラに撃墜された悲運のスペシャリティカー『日産レパード』
パワーユニットは前期型が伝統の直列6気筒のL型エンジン(L20とL28)。後期型となりL型は2Lのターボと新世代エンジンのVG型、3LのV型6気筒へ発展。レパード開発のベース車両は最後の後輪駆動車となる5代目ブルーバードといわれます(前期型には直4のZ18あり)。
1980年代当時の状況です。1981年8月にスカイラインが“ジャパン”から“ニューマン”へ。この年初代トヨタ・ソアラが爆誕。翌1982年にはデートカーと呼ばれる2代目ホンダ・プレリュードが誕生しています。ちなみにシルビア&ガゼールの誕生は1年早い1979年。マツダはヒットしたコスモAPからリトラクタブルヘッドライトを採用した3代目コスモを1981年に投入しその後失速。
レパードに採用された先進装備はシロウト目にも新鮮かつ贅沢なものでした。前期型はフェンダーミラー(後期型はドアミラー)なんですが、なんとワイパーが付いてました。記憶は怪しいのですが、日産セダンの最高峰セドリックやグロリアにもなかった装備だと思います。
さらに度肝を抜かれたのがデジタルで多機能表示の車載ドライブコンピュータです。クルーズコントロールも装備し、最上級の280買えば内装は皮張り。和モダンなリビングルームの眺めでした。
時代的にはいまでいう団塊の世代で高所得でなければ買えなかった高額車。当時のワイは中学生で原付バイクがリアルな選択という時代背景。クルマの免許取ってから友人が中古車で買ったレパード(2ドアH/T)を運転する機会に恵まれましたが、憧れの高級車でしたからワクワクしましたね。ただし、ボディ剛性はこのデザインのせいかDR30スカイラインより緩かった記憶があります。
当時の日産はスポーツイメージのスカイライン、サルーンのローレル、ニッチなレパードと三本柱を揃えたかったのでしょう。2代目レパードは2ドアのみ、3代目レパードはアメリカンなデザインの4ドア車J・フェリー(後継車は北米のマキシマ)と混迷。1995年に終売の運命に。
中古車サイト見るとわずかながら流通物件が見受けられました。相場観は300万円代中半といった感じ。現実的にはボディまわりの錆び、電子パーツの液晶抜けや各種パーツの調達に苦労すると思います。リアルには2代目レパードの方がまだ維持しやすのでしょうが、もう一度バリモンの初代レパードを拝んでみたいものです。 Text:Seiichi Norishige
教重 誠一