「最高の死」を支える「死のドゥーラ」が米国で急増中、あるALS患者の例を追う
愛する人を看取る力
クリーハン家の経験は、まれなことではない。2023年に学術誌「Palliative Care and Social Practice」に発表された論文では、終末期ドゥーラを依頼した経験について10組の遺族に聞き取り調査を行い、圧倒的にポジティブな回答を得た。家族が得た最も貴重なメリットは、死についてオープンに話せるなど死に向き合う能力が高まったことで、それが終末期の愛する人を看取る力につながったという。また、遺族のクチコミで終末期ドゥーラを利用する効果が広く知られるという波及効果もあった。 「終末期の人にとって、死の迎えが来るまで待っているのは辛いものです。ですから、自分にできるあらゆる手を打って最善を尽くしたいと願うのです」とキリリンさんは話す。「誰もが必ず死を迎えます。私にそれを変える力はありません。でも、だれかの人生の最終章を、その人が望むように閉じるお手伝いはできます。死を受け入れる人を、私はかたわらで見守ります」
文=Stacey Colino/訳=稲永浩子