「J3のプロ契約選手は0でいい」日本サッカー協会元会長・川淵三郎氏が語る大胆提言
「それはよかった!」
田崎 欧州、南米では100年以上の歴史のあるクラブが珍しくない。それぞれのクラブは失敗の経験を積み重ねて、したたかに、逞しくなってきた。 川淵 そうなんだよ。フリューゲルスの合併のとき、ある新聞記者が「欧州や南米ではサッカークラブが合併ことなんてありえない」ということをしたり顔に言っていた。そのときはそんなものかなと思っていたけど、実際は違う。 田崎 ぼくが知っているだけでも、ブラジルのパイサンドゥはカルロス・レナウシュと合併してブルスキというクラブになっていますね。 川淵 そんな事例は世界に沢山ある。最後に一つだけ聞いておきたいことがあるんです。この本はすごく取材してある面白い本だけれど、フリューゲルスを書いて売れるのかって最初に思った。あの当時、間違いなくフリューゲルスはサポーターが一番少なかった。だから合併騒動になったとき、そんなに応援に来てるわけではないのになんでこんなときだけ騒ぐんだって言いそうになった。 田崎 心配ありがとうございます(笑)。お陰様で発売してすぐに重版掛かりました。 川淵 そうなんだ! それは良かった。これだけ中身が濃い本だから、フリューゲルスの関係者しか読まないんだったら勿体ないと思っていたんだ(笑)。 ---------- 川淵三郎 大阪府立三国丘高校でサッカーを始め、早稲田大学在学中に日本代表デビュー。1964年の東京オリンピックではベスト8進出に貢献。現役引退後は古河電工監督を経て1980年~81年に日本代表監督。1988年にJSL総務主事、JFA理事に就任し、日本サッカーのプロ化を牽引。1991年にJリーグ初代チェアマンに就任。1994年にJFA副会長。2002FIFAワールドカップの日本招致と開催成功に尽力。2002年JFA会長に就任。2008年JFA会長退任後は、日本バスケットボール協会会長や、日本トップリーグ連携機構会長を歴任した。 ---------- ---------- 田崎健太 1968年3月13日京都市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。主な著書に『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『ザ・キングファーザー』(カンゼン)、『球童 伊良部秀輝伝』(講談社 ミズノスポーツライター賞優秀賞)、『真説・長州力 1951-2018』(集英社)。『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』(光文社新書)、『真説佐山サトル』(集英社インターナショナル)、『ドラヨン』(カンゼン)、『スポーツアイデンティティ』(太田出版)など。 ----------
週刊現代(講談社)