「J3のプロ契約選手は0でいい」日本サッカー協会元会長・川淵三郎氏が語る大胆提言
本物の経営者がいる場所
田崎 消滅危機に陥ったとき、フリューゲルスを運営する全日空スポーツに「本物の経営者」がいなかったことと同根ですよね。マネージメントできる人材の数が全体的に少ないという宿痾は今も変わっていない。 川淵 そう思う。それに、ぼくは2014年からバスケットボールに関わることになった。そのときは『Bjリーグ』だった。バスケットなんて儲かるわけがないと言われていてもクラブは赤字が当たり前で選手の年俸も低く、支払いが滞ることこともあった。同時期に実業団チームを中心とした『NBL』もあった。力のある選手はみんなそっちに行った。 田崎 川淵さんをトップとしたタスクフォースチームがBjリーグと、JBLを継承した『NBL』を統合して、今の『Bリーグ』を発足させました。 川淵 そうした状況の中で、クラブの経営者たちは、いかにエンターテインメント性を保ちながら高いレベルのプレーを見せるかというのを考え続けた。その象徴が沖縄県の『琉球ゴールデンキングス』。(初代社長の)木村達郎さんはクラブを立ち上げて沖縄の人たちとクラブを強くして、(沖縄)アリーナまで作った。木村さんだけでなく、そうした本物の経営者がBリーグには5人はいる。 田崎 振り返ってみれば、Jリーグは清水エスパルスを除けば、どこも一部上場企業が親会社としてついていた。いわば恵まれた環境でした。親会社からの出向で、当事者意識がない人たちと、小銭を集めてもなんとかしてクラブを成り立たせようとしたBリーグの経営者とは覚悟が違う。 川淵 Bリーグの経営者は相当苦労しながら自らを鍛えた。ただ、JリーグとBリーグは経営規模が違う。だから一概にJリーグでもそうすべきだったとは言えない。ただ、Jリーグを経験した人間、例えばセレッソの社長を務めた藤井純一さんが(北海道)日本ハムファイターズに行き、プロ野球が変わり始めた。Jリーグをみて、お客さん本位でいかねばならないと改革が進んだ。 そういう意味で日本のスポーツの発展にJリーグが寄与していることは間違いない。Jリーグってたった30年の歴史しかない。たった30年でここまで来れば立派なものですよ。完璧に行くことはない。