【解説】新型コロナ「5類」移行で変わること 現場から懸念も 感染者数「リアルタイムのモニタリングが困難に」
■「5類」移行で変わること “自己負担”発生も
改めて、新型コロナが「5類」に移行することで変わることを確認します。 ●行動制限 「緊急事態宣言」、感染者や濃厚接触者への「外出自粛要請」などが、今後はできなくなります。 ●医療費 これまで無料だった新型コロナ患者の外来や入院での検査・治療は保険診療となり「自己負担」も発生します。ただ、9月末までは高額な新型コロナ治療薬は引き続き「無料」で、高額な入院費は「月に最大2万円減額」されます。 ●ワクチン 8日時点では、来年3月末までは引き続き無料です。 ●医療機関の対応 これまでは新型コロナの症状がある場合、受診や入院ができるのは、感染症指定の医療機関や発熱外来といった一部の医療機関のみでした。これからは、全ての医療機関で受診や入院ができることになります。ただ、段階的に拡大されます。
■現場から懸念も 感染者数“リアルタイム”把握が困難に?
実際に新型コロナ患者を受け入れる現場では、不安の声も聞かれました。 私たちが取材した東京・練馬区の大泉生協病院の齋藤文洋院長は「今までと同じような感染対策をしつつも、もっと簡易的に広く発熱した方を診られるようにする工夫がすごく大変。本当にそれでうまくいくのかなというふうに思っています」と話していました。 この病院では、発熱外来を撤廃しました。現在は、待合室をパーティションで区切り、発熱などの症状がある人と通常の患者が接触しないようにしています。今後、もし感染が拡大した場合は、再び発熱外来を設置することも検討しているそうです。 さらにもう1つ、この病院が懸念していることが、感染者数の把握の仕方についてです。これまでは、全ての感染者数の情報を集め把握していましたが、5類への移行で特定の医療機関の感染者数を把握する仕組みに変わります。 新型コロナの感染状況を分析する厚生労働省の専門家会議は先月、「定点把握となることで、感染者数のリアルタイムのモニタリングが困難になる」とした上で今後、「第8波より規模の大きい“第9波”が起きる可能性は高い」などとする見解もまとめています。 多くの人は不安なくコロナ禍前の日常に移行していると思いますが、一方で高齢者や持病がある人の中には「第9波」と聞いて不安がぬぐえない人もいると思います。そのため、体調が悪いと感じるなどしたら、マスクをしたり、外出を控えたりするといった配慮や思いやりは継続していきたいです。変わることは多いですが、変わらずにいなければならないこともあるのではないでしょうか。 ◇ これまでは、危機と「同時進行」でやむを得ない部分があったとはいえ、特に行政の対策が後手に回る局面もありました。8日からフェーズが変わりますが、この3年あまりの教訓や反省も踏まえて、「次」に備えてほしいです。 (2023年5月8日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)