今年の隠れトレンドは「フルゴールド」 なぜロレックスやハイブランドがこぞって金無垢モデルを出す? 金の史上最高値との関係とは!?
●“フルゴールド”は、WWG2024の隠れトレンド
2019年に史上最高の輸出額を達成していたスイスの時計業界にとって、2021年から2023年までの3年間は、予想外の好景気に湧いた。 コロナ禍の直撃を受けた2020年こそ大きく落ち込んだものの、その後、コロナ禍は意外にも時計業界にとって「強力な追い風」になった。 「これまで時計に興味はなかったけれど、旅行に行けない代わりに、高級時計を購入する人」が世界中で激増した。時計業界に、これまでとは違う「新しいお客様」が登場したのだ。 その結果、2021年から2023年のスイス時計の海外輸出額は2ケタの成長を果たし、史上最高を更新した。
そんな中で迎えたWWG2024。その新作には“メゾンの伝統や独自のスタイルなど、自分たちの持ち味を大切にする”という大きなトレンドに加えてもうひとつ「隠れたトレンド」があった。 それは“フルゴールド”だ。 金融市場に興味のある方なら今、金の地金価格が史上最高の高値であることはよくご存知だろう。 金地金の取り扱い業者として有名な田中貴金属工業が発表している2024年4月の金1グラムの平均小売価格は1万1561円。そして昨年2023年の金の平均小売価格は1グラム=8,834円。 10年前の2013年が1グラム=4,453円。つまり10年間で約2倍に。20年前の2003年の1グラム=1,399円と比較すると、20年間で約6.3倍になっている。 これほど金が高騰している中、時計の製品価格もこれまでよりずっと高くなってしまうにもかかわらず、ロレックスやチューダー、ヴァシュロン・コンスタンタンを筆頭に、時計ブランド各社はゴールド素材をケースやブレスレットに使った新作を積極的に発表した。 なかでも圧巻だったのが、ロレックスの最高峰ダイバーズ、3900m防水の「ディープシー」のイエローゴールドモデル、Ref.136668LBだ。 ケースの直径は44mmで、厚さは17.7mm。重さは何と322gと発表されている。新作のプレゼンテーションで腕に着ける機会を頂いたが、見た目以上のズシリとした重量感に圧倒された。 価格は780万6700円(希望小売価格)。2022年に発表されたオイスタースチールモデルの価格は273万円なので、2.85倍になる。 またパテック フィリップはラグジュアリースポーツウォッチの「ノーチラス」や「アクアノート」のケース素材を、SSからゴールド素材に変更したことは、時計愛好家の方ならご存知だろう。
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