「最初は綾波レイ役を受けた」宮村優子 収入が厳しくて始めた声優業で「アスカ役」に大抜擢され変わり出した人生
── アスカ役に決まったときはどんな気持ちでしたか? 宮村さん:すごく嬉しかったです。でも、当時は新人だったし緊張の連続でした。アフレコでは声優の大先輩ともご一緒するんです。尊敬する方たちばかりだから、「新人の私がご一緒させていただいてすみません」って感じでした。でも、そういう気持ちでいるとお芝居になりません。本番では自分を押し出す感じで、体当たりで演じていました。
■声優をし過ぎると声帯にタコのようなものができて ── 人気声優となり、歌などもリリースされて多忙だったのではないでしょうか? 宮村さん:声優は、とにかく話し続ける仕事です。ある耳鼻咽頭科の医師によると、一般的な大人が1日に話す時間をつなげると、平均すると1時間程度らしいです。声優は、たとえばフルボイスのゲームの収録だったら、休憩をはさみつつ、ひとりで8時間話すこともよくあります。複数のアニメ作品に出演している場合は、連日のように収録が入り、声帯を休ませる時間がなくなるんです。
ずっと話していると、声帯の同じ部分を使い続けることになります。すると声帯がこすれて「結節」というタコみたいなものができ、悪化するとポリープになってしまいます。いつも声帯が炎症を起こしている状態でしたが、仕事に穴を空けるわけにはいかず、ムリを重ねていました。すると、だんだん声がかすれてくるんです。当時はのどの筋肉注射というものがあって、収録前に打つこともありました。注射で声帯の炎症を抑えるのですが、対処療法に過ぎないから、また同じことの繰り返しで…。
── 本当に多忙で、体を酷使していたのですね。 宮村さん:声帯に負担をかけ続けていたら最終的に声が出なくなり、結局はお休みをいただきました。身体を酷使して頑張っても休むことになります。だったら最初からムリをしないのが一番だと学びました。最近は声優業界にも働き方改革があり、わりと休みをとれるようになってきていると思います。