EU、ロ攻撃に備え来年中に財源確保を=新欧州委員
Lili Bayer Andrew Gray [ブリュッセル 9日 ロイター] - 欧州連合(EU)が新設した防衛担当の欧州委員に就任したアンドリウス・クビリウス元リトアニア首相は、ウクライナに侵攻したロシアからの攻撃を防ぐため、2020年代中をめどに数千億ユーロの追加防衛支出を可能にする財源を来年中に確保する必要があるとの見解を示した。ロイターのインタビューで語った。 クビリウス氏は追加防衛支出を可能にするために「財政のビッグバンが必要だ」との認識を表明。この発言は、EU加盟国がロシアの次なる標的になりかねないとの危機感を持ち、欧州の防衛力強化が急務だとする多くの欧州諸国首脳の見解を反映している。 また、トランプ米次期大統領の就任が目前に迫り、米国が中国に焦点を当てる姿勢を強めているのを背景に、欧州では米国が今後数年間は防衛に協力する意向も能力も低下するのではないかとの不安が高まっている。 このためEUが防衛費を増やすべきだとする意見は加盟国の幅広い合意を得られているものの、財源をどこに求めるかについてはまだ合意していない。 クビリウス氏は、遅くとも20年代末までにはロシアが北大西洋条約機構(NATO)加盟国を攻撃する準備が整うというドイツの連邦情報セキュリティー庁(BSI)などの情報機関の予測を引き合いに出し、来年中に解決策を見つける必要があると訴えた。 クビリウス氏は「2030年より前に、あるいは30年の前後に全てを終えておく必要がある」とし、「私たちは(ロシアの)プーチン大統領に準備が整うまで計画を遅らせてくれと頼めるとは思えない」と言及した。 プーチン氏は他の欧州諸国を攻撃するつもりはないと発言したものの、欧州の指導者たちを納得させるものではない。なぜならば22年にウクライナに侵攻する前、ロシアはウクライナについて同じように確約していたからだ。 クビリウス氏は戦車や大砲、空輸、補給能力といったあらゆる防衛装備品がさらに必要になるとの見解を示した。 EU欧州委員会は、今後10年間に約5000億ユーロ(5300億ドル)の追加防衛支出が必要になると見積もっている。